月刊『食品と開発』1月号の掲載記事紹介
食物繊維素材の市場動向
〜機能面では免疫、物性面では代替肉への応用に期待〜
はじめに
食物繊維は身体の調子を整えるために必要不可欠な素材である。整腸作用だけでなく腸内細菌叢を介した自己免疫強化、腸内環境を整えることによる美容・メタボ予防、脳腸相関など様々な機能を持つ。テレビ番組や雑誌等で腸内環境について取り上げられる機会が増え、腸内環境を整えることの大切さが消費者にも伝わり、業界でも腸活を意識した動きが続いている。
しかし、腸の悩みを抱える人はいまだに多く、食物繊維を手軽に摂取できる製品の必要性は高い。機能性表示食品で利用される食物繊維も増え、物性改良用途では原材料の不足や高騰、加工の高度化などに対応した利用が進む。本稿では、食物繊維に関する話題や最近の状況、食物繊維素材の動向などについて探る。
見直されている食物繊維
腸内細菌叢や菌の代謝物に関する研究が進んだことで、腸内環境が身体の様々な機能に関与することが詳しく知られてきた。便通改善はもちろん、以前から知られていた美肌・美容効果やメタボ予防、最近では脳腸相関に関する研究が進みストレスとの関係も知られてきた。さらに現在は免疫機能について特に高い関心が寄せられている。
腸内環境が悪くなりがちな高齢者やアスリート向けの製品には食物繊維を配合した製品は多いが、一般食品分野においても食物繊維を強化した製品やプロバイオティクスと組み合わせた製品は多くのジャンルで見受けられる。不規則な日常や食生活の乱れ、ストレスなど腸内環境が悪くなる要因が多いためか、子供、若い世代、働き盛りと、お腹の悩みは年齢や環境を問わず増え、深刻化している。
令和元年の国民健康・栄養調査(厚生労働省調査)では、成人の1日あたりの食物繊維摂取量が男性で19.9g、女性で18.0gとなった。前年となる平成30年の同調査では、男性15.3g、女性14.7gであったことを考えると、摂取量はかなり増えた。日本人の食事摂取基準(2020年版)における18〜64 歳の食物繊維の目標量は、男性21g以上、女性18g以上であることから、目標量に近づいたことになる。ただしこの増加の要因がどこにあるかはわからず、数年は推移をみる必要がありそうだ。
食物繊維は、生理活性機能が特徴でクリアに水に溶ける水溶性食物繊維と、便の嵩を増し、物性改良機能で加工食品に応用されている不溶性食物繊維がある。さらに最近は発酵性を持った食物繊維への注目度が高い。水溶性・不溶性問わず腸内で有用菌に資化される点が重要で、腸内細菌に資化されてどのような成分が生産されるのかがカギとなっている。なかでも酪酸などの短鎖脂肪酸に対する期待は高く、機能性研究が進められている。
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※食品と開発1月号では、食物繊維素材についてまとめています。どのような食物繊維素材があるか、サプライヤーの製品紹介や動向、研究例などを紹介しています。
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