アルギン酸メーカーのキミカは、創業80周年事業として、千葉県富津市にオフィス、研究開発ラボ、品質管理ラボ、福利厚生施設を集約した新オフィスを建設する。
新オフィスは鉄骨・鉄筋コンクリート造・地上2 階で延床面積は3,450㎡。執務エリアを従来比3倍、研究エリアを4倍に拡充して「健康志向の高まりに伴う需要増」と「高度化する品質要求」に応える。今年7月に着工し、2022年7月竣工を予定している。
品質管理ラボには、オープンな理化学試験エリアに加えて、専用エリアとなる機器分析室、微生物試験室、安定性モニタリング室等、医薬品GMPにも対応した設備を有し、医療用材料(医薬品原薬、医療機器原料)メーカーに相応しい試験検査環境を整備する。また顧客とともにアルギン酸の用途開発を行う「食品アプリケーションラボ」を併設する。約100名を収容できるセミナー室を用意し、アルギン酸の普及と用途開拓を加速する。
建屋内の1階(ワンルームオフィス)と2階(ワンフロアラボ)は、建物中央に配置したクロス階段(内階段)で有機的に繋がり、社員の回遊性を高めて社員同士のコラボレーションを促す設計。大階段の周囲にはコミュニケーションスペースが広がるなど、組織の一体感を醸成する工夫がされており、ポストコロナ時代の新たな事業展開と多様な働き方に柔軟に対応することが可能な設計となっている。
また、万全のBCP対策と社員の安全確保の観点から、建物全体を50cm底上げしたほか、研究スペース(測定機器)と電気室を2階に配置して水害に備えた。非常用発電機による電源バックアップで万一の停電に備え、基準の1.25倍以上の耐震性能を付与しており、「避難安全検証法」により、有事の際にも社員が安全に避難できることを確実にしている。
環境性能に優れる技術を数多く採り入れており、輻射熱の特性(熱移動の原理)を活かした「次世代型輻射式空調」を採用し、無風・無音で温度ムラのない、からだに優しい住空間を演出した。さらに自然エネルギーを有効活用(冬は地下水から熱を取り出し、夏は地下水に熱を吸収させる)することで、一般的な空気空調と比べて環境負荷を50%以上削減することに成功。室温に影響を与えることなく新鮮な空気を採り入れることのできる外調機、外装ダブルスキンシステム(二重窓)と調光制御ブラインドを備えて建物に掛かる熱負荷をさらに軽減している。太陽光発電や電気自動車の充電ステーションの導入も検討するなど、「ジャパンSDGsアワード」の受賞企業の名にふさわしい、地球にやさしい新拠点を整備する。