奥野製薬工業は、食品中の耐熱性菌(bacillus属など)に対するグリシンの制菌効果を大幅に高めたグリシン製剤「トップキープSK」を開発した。スパイスやバニラビーンズなどの原材料等に由来する耐熱性の高い芽胞菌の初発菌数を減少させる独自の手法を考案し、さらに製剤成分のキレート作用を利用して細菌の生理活性を不安定化させることにより、グリシンの効果(感受性)を高めている。
トップキープSKは①芽胞菌の発芽を促して、加熱により殺菌し、初発菌数を減らす②発芽しかけた芽胞に加熱によるダメージを与えて増殖するスピードを遅らせる、という2つのアプローチをもとに、耐熱性菌の芽胞に対して発芽を促す作用をもつ成分を配合。加熱により発芽菌を殺菌することで残存芽胞数を減らし、さらに芽胞菌の細胞内において重要な生理的役割を果たすミネラルイオンをキレートさせることで、細菌の生理活性を不安定化させ、グリシンの有する制菌効果(ペプチドグリカンの合成阻害)を高めている。
グリシンよりも低濃度で枯草菌以外の様々な菌にも制菌効果を発揮し、カスタードクリームや甘味フィリング、ミルククリーム類などを使ったスイーツ商品に対する日持向上効果を提案している。
25℃の条件下でカスタードクリームにおける制菌効果を評価したところ、24時間後、48時間後では枯草菌に対してグリシンと同等以上の効果を発揮することを確認している。推奨添加量は甘味フィリング全量に対して0.8~1.2%。