三栄源エフ・エフ・アイは9日、中部大学応用生物学部の堤内要教授、石田康行教授、国立医薬品食品衛生研究所などと共同で世界初となるクチナシ青色素の分子構造の解明に成功した、と発表した。
クチナシ青色素は、クチナシ(Gardenia jasminoides J.Ellis (Gardenia augusta Merr. ))の果実から得られるイリドイド配糖体とタンパク質分解物から生成される天然系色素。pHによる色調変化がほとんどなく、他の天然系青色色素に比べて耐熱性や耐光性に優れるという特徴があり、飲料、菓子、デザート、冷菓、農水畜産加工品など、幅広い食品に使用されている。青色の着色で使用されるほか、ベニバナ黄色素や紫イモ色素などのアントシアニン系色素との併用で緑色や紫色の着色にも使用されている。
クチナシ青色素の分子構造はこれまで十分に解明されておらず、その主な原因として、構造解析に通常用いられる溶液核磁気共鳴分光法(NMR)ではクチナシ青色素の分子構造に由来するシグナルをほとんど観測できないこと、さらに液体クロマトグラフィーでの分画が難しいこと、など分析における技術的課題があった。
今回の共同研究では、固体NMRを用いてクチナシ青色素の構造情報(スペクトルのピーク等)を取得し、熱分解ガスクロマトグラフィー/質量分析法(PyGC/MS)による分画と併せることで、クチナシ青色素の分子構造を解明できた、としている。
今回の研究成果はクチナシ青色素の基礎および応用の両面で、今後の発展に寄与するもの、としており、これまでネックとなっていた海外市場への展開も準備が進んでいきそうだ。
この研究成果は米国の化学誌「Journal of Agricultural and Food Chemistry」誌に掲載。本研究の重要性が認められ、当該誌のCover Artにも採用されている。