昨年末から値上がり基調となっていた中国グリシン相場が、ここにきて急騰しており、直近の最高値を更新する事態となっている。新型コロナ禍から早期に回復し生産を再開した中国工業製品に対して世界各国からの引合いが集中し、基礎化学品など関連資材の需給がひっ迫して高騰しており、グリシン生産コストが大幅に上昇していることが背景にある。
さらに、工業製品の中間体原料として利用される中国グリシンに対する引合いも強く、春先から相場の高騰に拍車を掛けている。直近の中国グリシン相場は昨年の平穏時に比べて2倍近くに達し、中国グリシンを取り扱う国内サプライヤーサイドでもキロ単価100円以上の値上げを提示するなど、すでにユーザーとの調整に入っているところもある。
原料価格のさらなる高騰を見越して、中国グリシンメーカーサイドでは新規注文を受け付けず、先行きの価格についても提示していないケースもあり、予断を許さない状況。来年北京で開催する冬季五輪を前に、北京周辺に拠点を構える工場の操業規制問題もあり、他国からの原料の買い付けや工業製品向けの動向が沈静化するまでは、さらに相場が高騰する懸念も強まっている。
先行きの原料の需給見通しが立たない状況にあり、国内市場に出回る中国グリシンの値上げ幅も大きく、激戦区では国産グリシン価格を上回る可能性も出てきた。