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脳機能と口腔機能に関連した研究と素材の紹介

一般社団法人ウェルネスフード推進協会は、2月16日に「脳のアンチエイジングと口腔機能の改善から目指すウェルビーイング」と題したオンラインセミナーを開催した(共催:常磐植物化学研究所、ケミン・ジャパン)。※以下は講演の要約です。

■脳のアンチエイジングとロスマリン酸への期待
阿部康二 氏(国立精神神経センター病院院長、脳神経内科)

アルツハイマー型認知症は、発症までに25年かかるといわれており、そこに予防のチャンスがある。アルツハイマーには代謝と循環系の両方の問題が考えられ、アルツハイマーの原因とされているアミロイドβの蓄積は、分解・排泄力の低下により起こるという認識になってきた。低下の原因は動脈硬化、酸化ストレス、脳内炎症などが考えられている(酸化ストレスと脳内炎症は、アミロイドβの生成増加にも関与している)

サプリメントでは、抗酸化力の高い素材や血流改善の効果のある素材が有効。トコトリエノール、DHA・EPA、イチョウ葉、プラズマローゲン(ホタテやホヤ)、イミダゾールジペプチド、ポリフェノールなどが考えられる。ケミン・ジャパンのスペアミント抽出物「ニューメンティクス」についても抗酸化効果や抗炎症効果について調べている。

■脳の健康のための機能性素材 スペアミント抽出物ニューメンティクス™のご紹介
ケミン・ジャパン株式会社 橋本正史 氏

スペアミント抽出物「ニューメンティクス」は、100%持続可能な栽培認証を得ているスペアミントを原料に水抽出で得た機能性素材。ロスマリン酸、サルビアノール酸、リトスペルミン酸、カフタル酸など50種類以上のフェノール化合物を含む。

50~70歳男女による90日間の無作為化二重盲検プラセボ対照試験では、1日900mgの摂取で、作業記憶についてプラセボ群比で15%の改善が確認されている。機能性表示食品では「ワーキングメモリーを維持する機能」で商品が受理されている。

■口腔機能の改善を目指した研究開発
斎藤一郎 氏(鶴見大学歯学部教授)

口腔機能の低下(オーラルフレイル)は全身の虚弱(フレイル)に繋がり、要介護状態になる可能性も高い。口腔機能の低下は、低栄養、誤嚥性肺炎、歯周病、窒息事故、認知症などと関連があり、全身の健康に多大な影響を与える。口腔機能が向上するような製品(食品)が望ましいが、ヒト試験で口腔機能の維持が検証された素材は少なく、これからのマーケットだと考えている。

高齢者の歯の喪失は10年後の記憶力や身体的機能を低下させる。噛むことは脳の血流量を増やすことに繋がるので記憶力維持にも関わってくる。さらによく噛んで食べることは心血管疾患の予防にも役立つ。また、歯周病は糖尿病や骨粗鬆症、心血管障害などと関連すると考えられているため注意する必要がある。

口の中には700種類、1000億個の細菌が生息し、オーラルフローラ(口腔細菌叢)を形成している。口腔内細菌も多様性が大切で、口腔内細菌の多様性が少ないと肺がんのリスクが増えるという研究もある。オーラルフローラの適正化が重要になる。また、口腔内細菌が腸の中で増えるとクローン病や潰瘍性大腸炎を誘発して悪化させるという論文などもあり、腸内細菌のバランスには口腔内細菌も影響すると思われる。

■アクティブシニアはお口の健康から!
tokiwaオリジナルオーラルケア素材「ローレッシュ®(ゲッケイジュ葉抽出物)」のご紹介
株式会社常磐植物化学研究所

「ローレッシュ」はゲッケイジュ(ローリエ)の葉から抽出したエキス末で、有効成分としてデアセチルラウレノビオリドとコスツノリドを規格化している。ローレッシュを用いたプラセボ対照二重盲検試験では、歯周病菌に対する抗菌作用と歯ぐきの炎症改善、唾液pHの調整を確認している。機能性表示食品への届出に関する作業を進めている最中で、「歯ぐきを上部で健康に保つ」や「口腔環境を改善し、歯ぐきを丈夫で健康に保つ」などの表示が考えられている。

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