ステビア甘味料に利用される原料価格が年初来急騰している。主産地である中国では、食用の農産物栽培への転作による作付面積の縮小に加え、昨夏の異常気象による記録的な大雨により、ステビア栽培地の一部が水害にあうなどステビア原葉の収穫量が大幅に減少。オールドクロップの在庫も底をついているとみられる。さらに中国の脱炭素政策に伴う深刻な電力不足が工場の稼働制限を余儀なくされており、供給が追い付かず、粗原料となる抽出品価格は平穏時に比べ数十%の値上がりとなっている。
世界的な減糖政策やナチュラル志向により、海外市場でのステビア甘味料の消費量は伸びているものの、新型コロナ禍の世界全体の食品需要に停滞感もあり、これまでステビア甘味料の世界需給バランスへの影響は軽微なものとなっていた。ところが、他の高甘味度甘味料相場の値上がりの影響もあって代替需要が活発化し、ステビア相場も急騰。現地で粗原料を製造するために必要な副原料やエネルギー、物流コストの上昇も相まって、価格上昇に拍車が掛かっている。今年の作付面積は増えていないとの情報もあり、需給バランスの急激な緩和は見込めない見通し。BCPの観点から南米をはじめ中国以外に栽培地を求め、供給の安定化を図る動きもあるものの、時間はかかるとみられる。
ステビア甘味料は日本で開発された植物由来の高甘味度甘味料で、甘味度はショ糖の180~350倍。世界市場ではJECFA規格やEU規格のものが流通している。国内需要量は純品換算で200~220トンの市場を形成しており、砂糖に近い甘味質を重視する飲料や菓子類向けは、レバウディオサイドA高含有品や酵素処理ステビアの評価が高く、塩なれや酢かどをとるといった効果では後甘味の特性をもつステビオサイド品が多く利用されている。