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カイコハナサナギタケ冬虫夏草でヒトの認知機能改善効果を確認

第一工業製薬は、健常者および軽度認知障害者を対象に実施したナトリード®含有カイコハナサナギタケ冬虫夏草の摂取試験で、認知機能改善効果を確認したと発表した。

ナトリード®含有カイコハナサナギタケ冬虫夏草は、グループ会社のバイオコクーン研究所が開発した健康食品素材。バイオコクーン研究所と大学らとの共同研究において、カイコハナサナギタケ冬虫夏草から発見された新規の環状ペプチド「ナトリード®」が、脳機能改善に関わる神経細胞の成長促進作用、グリア細胞であるアストロサイトの増殖作用、同ミクログリアの抗炎症作用の3つの機能を持つことが明らかとなっている。また、老化促進モデルマウスを用いた研究では、ナトリード®の経口投与により認知機能の一つである空間記憶の回復効果が認められること、さらにアルツハイマー型認知症患者に対する臨床試験で髄液中のアセチルコリン濃度を増加させる作用を確認しており、ナトリード®が認知機能に対する新しい機能改善物質の候補であることを示唆していた。

本研究では40代以上の健常者および軽度認知障害者(計90名)を対象に、ナトリード含有カイコハナサナギタケ冬虫夏草<高用量群:ナトリード®1.92mg/日>、<低用量群:ナトリード®0.96mg/日>または<プラセボ群>の3群を設定。それぞれ12週間摂取し、Cognitrax(認知機能検査)およびアイトラッキング(ヒトの眼球運動を分析し、視覚的注意などを明らかにする生体計測手法)を用いた認知機能テストを実施した。

その結果、Cognitraxテストにおいて、視覚記憶力、認知機能速度、運動速度で12週時に低用量群がプラセボ群と比較して有意に改善することが判明。高用量群では、プラセボ群との有意差は認められなかったものの、上記3項目において改善傾向が認められた(図)。また、プラセボ群では、同3項目のうち、視覚記憶力と運動速度においてスコアの改善が見られなかったことから、ナトリード®高用量もしくは低用量摂取により、視覚記憶力、認知機能速度、運動速度の改善が示された、としている。

得られた作用機序は、前述のアストロサイト増殖作用やアセチルコリン濃度増加作用などによる認知機能や記憶力へおよぼす影響であり、老化促進マウスにおける空間記憶の改善効果と同様、視覚記憶力の改善に繋がっていると考えられ、カイコハナサナギタケ冬虫夏草の経口摂取により、中高齢者の加齢にともなう神経細胞の減少や神経原繊維変化により低下した認知機能(記憶や情報処理速度など)の改善作用が示唆された、としている。

今後、この研究成果をもとに機能性食品表示届出のフェーズに移行し、新たな商品開発に取り組む予定。さらには、カイコハナサナギタケ冬虫夏草の機能性を追究し、健康寿命延伸をはじめとする社会貢献につなげていく、としている。

なお、研究成果は日本脳サプリメント学会誌「脳サプリメント誌」に論文として掲載(2022年9月29日)されており、10月22日岐阜大学にて開催される第4回日本脳サプリメント学会でも発表する予定。

図  ナトリード®含有カイコハナサナギタケ冬虫夏草摂取によるCognitraxテスト結果

 

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