三菱商事ライフサイエンスは、健康機能素材として手がけるNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)について、過剰摂取による安全性確認を目的としたヒト臨床試験を実施し、1日目安量とされる5倍量(1,250mg/日、4週間)でも問題となる有害事象が認められなかったことを確認した。
NMNは、生命活動を支える酸化還元反応などの代謝において重要な役割を担うNAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)生合成の前駆体。食品ではブロッコリー、枝豆、アボカド、牛乳などに比較的に多く含まれる。加齢に伴う体内のNAD+量の減少が加齢関連疾患などの発症に関わっていることが明らかとなっており、体内のNAD+を効率的に補充し、抗老化や加齢関連疾患の予防や緩和の目的でNMNを投与する研究が進んでいる。同社では東京大学との共同研究において、1日あたり250mgのNMNを12週間経口摂取することで、NAD+および関連代謝物の血中濃度が上昇し、高齢者の運動機能の一部(歩行速度、30秒椅子立ち上がりテスト、左手握力)が有意に改善されることを確認している。
今回の試験は、日本人の健常な成人男女31名を対象として、1,250mg(摂取目安量を250mgとした場合の5倍量)のNMNまたはプラセボを4週間にわたって連続経口摂取した際の安全性への影響を検討。その結果、血液、尿、体組成検査において懸念事項は認められず、NMNの摂取で問題となる有害事象は認められかった、とした。
なお、この研究成果は学術雑誌「Scientific Reports」に掲載されている。