プロテオグリカン素材事務局は11月9日にプロテオグリカンに関するメディア向けセミナーをオンラインにて開催した。「インナーケア最前線!肌のハリは真皮の細胞から作る時代へ~内側から美肌成分を生み出す「プロテオグリカン」の可能性~」と題し、3名の講師がそれぞれ美肌とプロテオグリカンの機能について解説した。プロテオグリカンはロコモ向け成分として知られているが、美肌に関しても極めて有力な素材であることが紹介された。
■「肌年齢を決めるのは内側のハリ 細胞に働きかけるインナーケアへの注目」
ウォブクリニック中目黒 総院長 髙瀬 聡子(たかせあきこ)先生
人生100年時代、いかに若々しく過ごしていくかがテーマとなり、そこで注目されている考え方が「ペースオブエイジング(pace of aging)」。老化のペースには個人差があるが、それは遺伝的要因が2~3割で、環境要因の方が大きい。細胞を活性化することでペースオブエイジングがゆっくりになり、若々しく保つことができると考えられている。
肌の深いシワやほうれい線は肌のたるみにより引き起こされるが、たるみの原因は真皮層のECM(細胞外マトリクス)が減少し、真皮の弾力が衰えるため。加齢によりECMの構成成分(コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸、プロテオグリカン)が減少するだけでなく、それを産生する真皮の線維芽細胞も減少してしまう。
プロテオグリカンは真皮のECMにも含まれるとともに、線維芽細胞を増やす作用が確認されている。そのため、プロテオグリカンの摂取により、たるみを根本から解決して肌の弾力を維持するという働きが期待されている。
■「美肌成分を生み出す真皮と線維芽細胞」
岡山理科大学 生命科学部 生物科学科 教授 安藤 秀哉(あんどうひでや)先生
肌の弾力には、コラーゲンやヒアルロン酸などの細胞外マトリクス(ECM)が関与しており、それらを産生する線維芽細胞がカギを握る。プロテオグリカンは、線維芽細胞のコラーゲン産生促進作用、線維芽細胞のヒアルロン酸産生促進作用、線維芽細胞の増殖促進作用が確認されており、ヒト試験ではプロテオグリカンの2週間の摂取により肌の弾力性が向上したという試験結果が出されている。
線維芽細胞はメラニン生成抑制因子を出すことが分かっており、老化した線維芽細胞がしみと関連することも分かってきた。さらに、表皮と真皮の間にある基底膜が脆弱だとメラニン色素が真皮に落下する可能性(入れ墨様の色素沈着)もあるが、線維芽細胞が基底膜を強靭にする働きもあるのではないかと考えられている。
■「美肌成分を細胞から生み出す注目成分「プロテオグリカン」について」
一丸ファルコス(株)開発部 開発3課 ワイズ 里沙(りさ)氏
プロテオグリカンはもともと高価な素材であったのが、弘前大学と青森県の角弘の共同研究によりサケ鼻軟骨から抽出する技術が確立され、一丸ファルコスが工業化に成功したことで様々に応用できるようになった。
プロテオグリカンは関節への機能性研究が進んでいるが、美肌作用を中心とした美容分野の研究も活発化している。プロテオグリカンを摂取することで肌の線維芽細胞に働きかけ、内側から美肌成分を生み出し、肌の弾力改善に貢献できると考えている。美容向けの食品やサプリメントにもぜひ使ってほしいと考えている。