太陽化学、摂南大学農学部応用生物科学科 井上 亮氏、栄養・病理学研究所、京都府立医科大学寄附講座「生体免疫栄養学(太陽化学)講座」内藤裕二氏らによる研究グループは、健常成人の腸内環境およびメンタルヘルスに対するグアーガム分解物(PHGG)の有効性についてヒト試験にて検証し、学術誌「Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition」に発表した。
研究では、60名の健常者を、プラセボ群(PHGG非摂取群)、PHGG 3g/日摂取群、PHGG 5g/日摂取群の3群に分け、ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間試験を実施した。それぞれ8週間摂取してもらい、腸内細菌叢、排便状況、便成分、身体検査、メンタルヘルス(睡眠や意欲など)に与える影響を検証した。
●腸内細菌叢に良い変化
プラセボ群と比較して、3g/日摂取群および5g/日摂取群で短鎖脂肪酸産生に寄与する菌が増加し、ムチン分解および炎症への関与が示唆される菌の増殖が抑制された。
●便通改善作用
5g/日摂取群ではプラセボ群に比べて排便頻度が増加し、排便のスッキリ感が改善。
●メンタルヘルス(睡眠、やる気)
試験期間中は新型コロナウイルス感染症が急拡大している時期であり、ストレスを感じやすい状況であったためか、摂取4週後に全群でスコアが低下した。摂取8週後には全群でスコアが回復したが、プラセボ群よりも3g/日摂取群および5g/日摂取群においてスコアがより改善する傾向。さらに5g/日摂取群では「目覚めのすっきり感」、「起床時の疲労感」、「仕事や勉強に対するやる気」のスコアがプラセボ群に比べて有意に改善した。
以上の結果より、PHGGの摂取による腸内環境の良好な維持、睡眠の質の改善、仕事や勉強に対するやる気の維持という効果が明らかになった。腸内環境改善を介してメンタルヘルスに寄与する可能性が示唆されるとともに、PHGG3g/日摂取で腸内細菌叢に影響することが判明した。
※発表雑誌
「Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition」
タイトル: Partially hydrolyzed guar gum is associated with improvement in gut health, sleep, and motivation among healthy subjects.
著者: Aya Abe, So Morishima, Mahendra P. Kapoor, Ryo Inoue, Takamitsu Tsukahara, Yuji Naito, Makoto Ozeki