トコトリエノールは極めて強い抗酸化力を持ち、その機能はトコフェロールと比べて数十倍にもなることから「スーパービタミンE」とも言われている。主にサプリメント分野で安定した需要を持ち、市場規模は約10トンと、ここ何年も安定した市場となっている。
トコトリエノールの機能性には以前から定評があり、抗酸化力の高さに加え、コレステロール低下、がん細胞の増殖抑制、血小板凝集、心臓疾患、脳疾患との関連などが報告されている。最近も多方面で機能性研究が進められている。以下に主なサプライヤーの製品や状況について紹介する。
三菱ケミカルグループの「トコリット92」は、トコトリエノール含量65.0%以上、総トコフェロール含量92.0%以上を規格したオイルタイプの製品で、優れた抗酸化能への認知度は高い。機能性研究に力を入れており、大学と共同で抗肥満効果に関する研究を進めているほか、脳機能や美肌に関する研究も大学や研究機関と提携しデータ取得している。
オリザ油化では、米糠・米胚芽の油脂成分から抽出・濃縮・精製して得られる「オリザトコトリエノール®」を販売している。総トコフェロール及び総トコトリエノール含量90%以上(総トコトリエノール60%以上)を規格化した高濃度品をはじめ、オイル、粉末、水溶性乳化液など各種グレードを揃えている。さらに米油に特徴的なγ-オリザノール、ステロールなどの微量成分も含まれている。トコトリエノールの作用としては、高脂血症改善、血清コレステロール低下、抗酸化、細胞賦活、ヒアルロン酸産生、色素沈着抑制などの様々な機能が知られ、最近では抗糖尿病作用や抗肥満作用、抗老化(オートファジー活性化)作用も確認され、注目されている。トコトリエノールは抗酸化力の高さから、ビタミンサプリやCoQ10などと併用されるケースが多い。ウイルス防御に有効であるという論文も発表され、海外ではベースサプリとして人気が出ている。
光洋商会は、トコトリエノールの世界的サプライヤーであるマレーシアのExcelVite(エクセルバイト)社製のパーム由来トコトリエノールを販売している。新鮮なバージンパームオイルから圧搾方法で抽出して分子蒸留法で濃縮した製品で、トコトリエノール、トコフェロールのほか、植物性スクワレン、フィトステロール類、複合カロテノイド、CoQ10など天然組成を反映した成分を含んでいる。汎用タイプの「エヴァノール™」、体内吸収性を2〜3倍に高めた乳化製剤「エヴァノール スープラバイオ™」、水分散性でハードカプセルにも対応した粉末「エヴァノールマックス™」の3種類を揃えている。「スープラバイオ™」による臨床試験では、育毛、脳神経の保護、肝臓保護などの作用を確認している。米国での臨床試験では12か月間の摂取により糖尿病腎症患者の腎機能を有意に改善することが明らかにされている。
BGG Japanではトコトリエノールを「TheraPrimE®」(セラプライム)ブランドにて3種類揃えている。「パームトコトリエノール92%」(総ビタミンE92.0%以上)、「パームトコトリエノール50」(同50.0%以上)の2品はパーム由来。米ぬか由来の「ライストコトリエノール」は水分散パウダーで、総トコトリエノール+総トコフェロール含量を25%以上で規格化している。「パームトコトリエノール92%」を中心に、コストメリットを訴求しながら紹介している。
食品と開発6月号では、ビタミン、カロテノイド、ミネラルの各サプライヤーの状況をまとめています。ぜひご覧ください。ご購入は1冊から承っております。
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