築野食品工業は、米ぬかから水溶性成分を抽出した栄養強化素材「RICEO-EX」に血圧や肥満を改善する高い予防効果を見出した。RICEO-EXはマグネシウム等のミネラル成分や水溶性食物繊維、IP6 (イノシトール6リン酸)を約30%含有する淡黄色~淡褐色の水溶性粉末素材。血管機能に関わる遺伝子発現上昇や、脂肪細胞の油滴蓄積およびそのメカニズムを細胞試験で検討した。
その結果、RICEO-EXによって、血流調節因子COX1及び血管拡張因子eNOS、さらに血管構造安定化因子Tie2の遺伝子発現量の上昇を確認。eNOS遺伝子およびTie2遺伝子発現量は濃度依存的に上昇し、0.1%の添加量でそれぞれ1.5倍~2倍に上昇した。また脂肪細胞の油滴蓄積について染色画像を用いて評価したところ、0.1%の添加量で大幅な低減効果を確認している。
これらの検証をもとに、血管機能の維持・調節や肥満に関わる油滴低減作用が期待できるとし、生活習慣病や更年期症状などの体の不調に対する食品素材として提案していく方針。副次的に味質改善効果もあり、完全食への利用も進めている。
なお、この研究成果は6月8日、9日に富山国際会議場で開催された日本食品化学学会第29回総会・学術大会でも報告している。
分化処理後の油滴低減作用を示す明視野画像
分化処理のみ(左) 分化処理+RICEO-EX0.1%(右)