dsm-firmenichは6月28日、ビタミン事業の再構築を図る一環として、ビタミンB₆の中国生産拠点である上海・星火(Xinghuo)工場を閉鎖し、ビタミンC事業は英国スコットランド・ダルライ工場で製造する「Quali®-C」ブランドに焦点をしぼる見通しを明らかにした。英国と中国の2拠点でビタミンCを生産する同社は、中国江蘇省のDSM江山製薬でのビタミンC生産を昨年末から大幅に削減していたが、今年5月中旬に完全に停止している。今後、DSM江山製薬でのビタミンC生産について、他社との提携やビタミンCの再利用など、さまざまな選択肢を模索していく、としている。
ビタミンB₆は、ドイツ・グレンザッハ工場と星火工場の2拠点体制で生産し世界各地に供給してきた。日本市場を担うDSMでは、食品用途は主として中国品を供給しており、2022年の上海のロックダウン時も、ドイツ品で代替出荷を行い、出荷を継続してきた経緯がある。
今回の中国ビタミンB₆工場の閉鎖決定に伴い、日本法人では食品添加物および医薬用途のビタミンB₆について、顧客の必要量を供給するために、計画的に在庫を用意する予定。代替品としてドイツ工場で生産するビタミンB₆を紹介する。ドイツ品は、上海工場の生産開始前よりグローバルに供給を続けており、日本でも広く使用実績のある製品である。従来通り、医薬品用途を始め、栄養補助食品、育児粉乳、経腸栄養、等に出荷していく見込み。
一方、日本市場のビタミンCについては、英国品とともに、暫定的にDSM 江山製薬のビタミンC 製品を供給していくが、方向性が決まり次第、顧客への対応を考えていく、としている。
dsm-firmenich は「栄養・健康・美容」のイノベーターとして、持続可能な長期開発を実現するために、独自の機能性素材領域において貢献し、引き続き、差別化されたビタミンの全面的な供給を続けていく方針である。