バチルテクノコーポレーションが開発した「AT-BCシステム」は、曝気槽の前処理装置であるAT-BC装置(立体網状回転装置)と「バチルス菌」を組み合わせることにより、有機系の高濃度廃水処理に高い効果を発揮するシステムである。
AT-BC装置は曝気槽前段で65%以上のBODを除去することができる為、後段の曝気槽の微生物に供給するエアー量が約1/3程度になりブロワーの動力を極端に少なくする事ができる。又、余剰汚泥も活性汚泥法と比較すると30~40%少なくランニングコストを大幅に削減したシステムのご提案が可能である。又、既存の廃水処理施設には、「能力オーバーで処理水が悪化している」「場所が無いため増設計画が立たない」「ランニングコストが高い」「窒素・リンの処理が出来ていない」「悪臭がひどい」等、様々な問題がある。AT-BC装置は、既存の施設を生かしながら曝気槽の前処理装置として容易に組み込む事ができ、ブロワー等の増設も必要なく能力を倍以上にする事が可能である。
同社は幅広い食品工場及び食肉解体施設など全国で150ヶ所以上の納入実績を持っているが、最近では官需でもその技術力と導入効果が注目され、国内公共事業としては初となる栃木県さくら市の「氏家水処理センター(下水処理場)」での共同研究にも採用されている。同社とパートナーシップ契約をもつ東芝インフラシステムズと下水道事業団が、昨年7月よりCO2削減など省エネ効果や処理能力増強の検証データを集積している。その結果AT-BC装置で平均BOD78%の削減率を実現したほか、従来2系列で行っていた処理設備がAT-BC装置を経由することで1系列のみでの処理が可能となり、消費電力は約30%の削減率を達成し余剰汚泥の削減を実現するなど好成績を残している。同所では実証テストから本格導入への切り替えも検討されている。
また近年は海外の下水処理場やゴミ浸出廃水でも実績が堅調。最近ではJICAの「中小企業・SDGsビジネス支援事業に採択され、同社の『回転繊維ユニットを用いた下水処理施設の高度化に関する実証事業』が実施されている。実施国はインドのベンガルールで、20,000m3 /日の下水処理場にAT-BCシステムを用いた1,000m3 /日規模の実証プラントを建設し今年5月に竣工した(写真)。1年間の検証を行いインド国内向けの下水道処理マニュアルを作成するとともに、同所をモデルプラントに据えインド国内へ波及させていく考えだ。