森永乳業は、九州保健福祉大学 黒川昌彦教授との共同研究において、健常成人がラクトフェリンを摂取することにより、プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)の活性が維持され、呼吸器および全身の健康状態が維持されることを確認したと発表した。本結果は科学雑誌「Nutrients」に本年9月13日に掲載された。
試験では、健常成人157名を無作為に2つのグループに分け、ラクトフェリンを含む食品(200mg/日)またはプラセボのいずれかを12週間摂取してもらった。摂取期間中、呼吸器症状(のどの不快感、声がれ、たん、くしゃみ、鼻水、鼻づまり)および全身症状(熱っぽさ、倦怠感)のスコアを記録してもらうとともに、摂取前後で血液中のCD86およびHLA-DR(pDCの活性指標)の発現強度を測定した。
その結果、摂取期間中の呼吸器症状および全身症状のスコアは、ラクトフェリン群でプラセボ群と比較して有意に低い値を示した。また、CD86およびHLA-DRの発現強度は、ラクトフェリン群でプラセボ群と比較して有意に高い値を示した。
ラクトフェリンは牛乳から発見された鉄と結合する性質を示す糖タンパク質で、森永乳業では60年以上にわたる研究実績を有する。これまで同社が行った細胞実験から、ラクトフェリンがウイルスに対する免疫応答でリーダーの役割を果たすpDCを活性化することを確認していた。このたびは臨床試験においてpDCの活性維持と呼吸器および全身の健康状態の維持という機能が確認された。