(一社)日本食品添加物協会は11日、東京都千代田区の如水会館で令和6年賀詞交歓会を開催した。会場には関係省庁や協会会員など約350名が参集し、協会の方針が紹介された。
同協会の福士博司会長は冒頭の挨拶で、北陸地方での大地震で被災された多数の方々へのお悔みとお見舞いを述べるとともに、今年度の活動方針や施策に関する内容を紹介。昨年度に続き「グローバル規制への影響力発揮」「社会への発信力アップ」に取組むとし、今年度はコーデックス対応に代表される食品、食品添加物の安全性評価などのデジタル化、食のサステナビリティへの貢献をさらに推進していく旨を述べた。
とくに日本企業が食品添加物の貿易を行う際は「現地の規制とともに、国際的なスタンダードであるコーデックス規格を参照すべき」としつつ、各国において安全性の定義やデータの取得方法が異なる現状にも触れ、指標となる効率的なデジタルシステムが存在していないことに言及。協会が今後行うべき、DXのあるべき姿として「ハンズオンレベルの活動、極めて現実的で人間的な活動に留まらず、監督諸官庁への積極的な情報提供、働きかけを通じて、正確で迅速で、かつグローバルに使えるシステム構築を働きかけること、自ら準備していくことである」と意気込みを語った。
来賓代表挨拶では、厚生労働省健康・生活衛生局 食品基準審査課長の近藤恵美子氏、消費者庁審議官の依田學氏、内閣府食品安全委員会事務局長の中裕伸氏が登壇し、各省庁の最近のトピックや取組みを紹介。厚労省の近藤氏は、第10版食品添加物公定書を今年度内に速やかに公表する旨、流通実態のない既存添加物を消除するための第五次「消除予定添加物名簿」を作成すること、食品基準行政が今年4月1日に消費者庁に移管する旨を述べた。これを受け、消費者庁の依田氏は、食品基準行政の運営にあたり、これまで厚労省の下で審議されてきた食品衛生審議会に代わる「食品衛生基準審議会」を設置し、委員の人選を行っていることを述べた。またトピックとして食品表示に関するコーデックス規格との整合性や、栄養強化目的の添加物の表示方法、食品ロス削減に関わる賞味期限等の見直し、4月からの「食品添加物の不使用表示ガイドライン」の本格運用に関する取組みなどを紹介。食品衛生監視を所管する厚労省と食品健康影響評価を担う食安委との連携を深めていく旨を述べた。
左から近藤恵美子氏、依田學氏、中裕伸氏