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希少糖アルロースの肥満症改善に対する可能性-肥満症特別勉強会開催

(一社)日本肥満症予防協会では、6月28日(金)に都内で「肥満症特別勉強室」を開催した。同協会は、肥満症の啓発をテーマとし肥満学会と連携して様々な取り組みを行っており、特定健診・保健指導の遂行や市民の健康・栄養事業を担うコメディカルの方々を対象に「肥満症特別勉強室」を実施している。

今回は「希少糖アルロース」をテーマとし、「注目を集める❝希少糖アルロース❞の可能性」と題し、3名の講師による講演が行われ、肥満症が体に及ぼす影響はその治療、薬に関する情報などとともに、アルロースがどのように肥満症の改善に役立つか、そのメカニズムや市場での状況などが語られた。

<肥満症特別勉強室>
注目を集める❝希少糖アルロース❞の可能性
天然の甘味料 ~カロリーゼロ・脂肪燃焼・血糖上昇抑制~
主催:(一社)日本肥満症予防協会 後援:(一社)希少糖普及協会 協賛:松谷化学工業(株)

(以下要約)
■肥満症対策への課題 危険性・予防と治療
日本肥満症予防協会 副理事長 宮崎 滋

肥満と肥満症は異なる。肥満はBMI25以上で、肥満症はBMI25以上に加えて内臓脂肪蓄積および11の疾患を合併しており、疾患治療のための減量が必要となる。なぜ肥満が良くないのか?-体重が増えると血糖、血圧、脂質が上昇し、肝機能が悪化する。死亡率はBMIが大きいほど高い(痩せ過ぎでも死亡率は急激に高くなる)。脂肪細胞が肥大化することで炎症性サイトカインが産生され、高血糖や高血圧、脂質異常などに繋がる。肥満症は感染症の基礎疾患ともなる。

では、肥満症はどんな治療をすればよいか。まず、体重を3%減少させることで多くの疾患の改善が見込める。食後の高血糖はインスリン分泌を亢進させ、肥満に繋がる。肥満症治療薬・予防薬もあるが副作用が問題となる場合もある。肥満症の治療には、肥満症者のQOL改善も必要であり、さらに肥満に関する正しい知識の普及とスティグマ(肥満者に抱く間違ったイメージ)の解消なども必要となる。

■内因性GLP-1放出による抗肥満・抗糖尿病作用 GLP-1受容体作動薬とは異なるメカニズム
京都府立大学大学院 教授 岩﨑有作

アルロースはGLP-1分泌を促進して迷走感覚神経を活性化する。動物試験ではアルロースのGLP-1分泌を期して嫌悪行動なく摂食抑制作用が見られた(満腹感の誘導)。体重増加は食事タイミングも影響する。アルロースはヒト試験において、GLP-1分泌促進作用、食前摂取による満腹感の誘導作用が調べられており、摂食リズム障害の改善や過食予防効果、それによる肥満の防止・改善が期待される。また、アルロースは食後血糖値上昇抑制作用が調べられている。

アルロースは、脳や膵臓に直接作用するGLP-1受容体作動薬とはメカニズムが異なり、腸からのGLP-1が迷走感覚神経を介して作用し、インスリン抵抗性の改善や摂食リズム障害の改善などに繋がると考えられている。

※GLP-1:小腸から分泌されるホルモンの一種。食事中~食後に分泌されてインスリン分泌を促進する。

■希少糖アルロースの可能性
松谷化学工業 研究第一部 課長代理 山田貴子

松谷化学工業は2021年よりアルロース「ASTRAEA(アストレア)」を販売している。アルロースは砂糖の7割程度の甘味を有するゼロカロリーの食品素材。アルロース配合製品は世界的に増えており、ベーカリー、アイス、スナック、乳製品、シリアルなど幅広い。国別では、糖類から除外されている米国、韓国、メキシコで多く製品化されている。日本でも同様のことが望まれている。

日本におけるアルロースの認知率は、一般の人で13%、ダイエット意識の高い人で24%。特長まで知っている人はそれぞれ3%、7%であった。いずれの群も、アルロースは「太らない甘味料」という特徴が知られていた。機能性表示食品では脂肪燃焼促進作用、血糖上昇抑制作用で商品が届出されている。

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