三菱ケミカルグループは、有胞子性乳酸菌ヘンドリクシア・コアグランス※についてヒト臨床試験を行い、腸内腐敗産物と腸内終末糖化産物を低減し、肌の状態を改善する効果があることを確認した。その成果が本年7月25日『Nutrition』誌に掲載された。
腸内細菌により産生されるフェノール類は、血液を介して肌まで届き、肌のターンオーバーを阻害して肌荒れの原因になると報告されている。また、腸内でタンパク質と糖が体温で加熱されて産生されるAGE(終末糖化産物)は、全身に循環・蓄積することで肌の老化を引き起こすといわれている。そのため、腸内環境を改善することは、肌の状態を健康に保ち、肌荒れの予防につながると考えられている。
今回の試験は30~64歳の日本人女性80名を対象にした臨床試験で、H・コアグランスを10億個以上含むカプセルを摂取することで、腸内環境改善と肌に対する機能性を検証した。
その結果、H・コアグランス摂取群では、実摂取群と比べて以下の改善効果が認められた。
・腸内腐敗産物の1つであるフェノールの低減
・腸内の代表的なAGE であるカルボキシメチルリジン(CML)の低減
・腸内のフェノール産生菌、CML産生関与菌の低減
・肌の明るさの向上
・額における肌の鱗屑(乾燥した角質)の低減
これらのことから、H ・コアグランスの摂取によって、腸内細菌叢の変化を介して腸内環境が改善され、肌の明るさや肌の健康維持に影響している可能性が示唆された。
※有胞子性乳酸菌ヘンドリクシア・コアグランス(Heyndrickxia coagulans SANK70258)
(旧名:ワイツマニア・コアグランス、バチラス・コアグランス)
一般的な乳酸菌とは異なり、胞子を形成するため酸や熱に強く、菌が死滅せずに腸で発芽して増殖するという特性を持つ乳酸菌。これまで便通改善や免疫機能調節などの機能性を確認している。