三栄源エフ・エフ・アイは、機器測定データからゲル状食品の複雑な食感を網羅的に数値化する新たな予測モデルを開発している。
同社は、これまでにオノマトペに着目した85の食感表現グループからなる評価用語系を確立するとともに、食品試料を一軸圧縮したときの荷重値の経時変化(時間‐荷重曲線)のデータから各食感用語のスコアを推定する予測モデルを構築し、官能評価なしに複雑な食感を網羅的に表現できる可能性を示してきた。新手法では、試料を一軸圧縮して得られる時間‐荷重曲線の代わりに、歪‐荷重曲線のデータ(歪は、試料高さに対する圧縮距離の割合)を説明変数として用いており(図1)、従来の手法では難しかった自立しにくいやわらかいゲル状食品まで適応範囲の拡大を図っている。
同社では、長年自社で培ったゲル化剤などの製剤化技術と組み合わせ、今までにない食感開発や、目指す食感により近づけるためのソリューション提案、顧客の商品開発のサポートなどに活用していく方針。デザート向けのゼリーやプリンだけでなく、よりやわらかいドリンクゼリーや高齢者向けの栄養・水分補給食品の食感設計にも活用することを検討している。
なお、本研究の内容については、日本食品科学工学会第71回大会にて発表(演題:一軸貫入試験と機械学習によるゲル状食品の食感推定)が行われている。