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清涼飲料に関する多角的な技術的発表-日本清涼飲料研究会「第33回研究発表会」開催

日本清涼飲料研究会は、10月8日に「第33回研究発表会」を開催した。会場とオンラインのハイブリッド開催で、清涼飲料技術者の発表やシンポジウム、特別講演が行われた。

春見隆文氏

開催に先立ち、同会会長の春見隆文氏が挨拶。(以下要約)
猛暑や災害が多くなる中、清涼飲料の果たす役割はますます重要になっている。清涼飲料は気象と関係の深い業界で、熱中症対策を考えた水分・機能性成分補給、メンタルへの貢献など、気象の変化にシフトした取り組みを一層進めていく必要があると考えている。

技術者発表の中から、ここでは3題の発表について紹介する。

■オレンジ果汁代替素材としての乳化香料の活用
長谷川香料株式会社 田中大河氏
近年の天候不順や病害によるオレンジ果汁の不足が問題となっており、果汁配合量を抑えた商品設計が考えられている。その際に問題となるのが果汁の持つ厚みのある風味の低減で、その対策のための乳化香料について評価した。

オレンジ果汁の口当たりに寄与するペクチンを利用した乳化香料で試験を行ったところ、【果汁10%飲料+乳化香料】は、果汁20%飲料と同様の風味を実現していた。ペクチン配合と無配合の場合では、果汁感の濃さや飲みごたえで配合品のほうが優れており、ペクチン別添では同様の効果が得られなかった。

■国産レモンの香気分析とレモン香料開発への応用
小川香料株式会社  下川知恵氏
多彩な果実感を表現できるレモン香料の開発を目的に、熟度による香気の特徴、微量含硫成分の果実への寄与などについて検討した。大分県佐伯市の自社農場のレモンを用い、早摘み、適熟、完熟の違いを検証し、それぞれの特徴を明らかにした。また、レモンの微量含硫成分がレモン感やボリューム感の点で重要であることを明らかにした。

熟度別の特徴や果実感のあるレモン香料を応用することで、炭酸飲料では、ビターでキレが良い無糖(早)、リフレッシュ向け無糖(適)、濃厚さ・贅沢感のある有糖(完)、紅茶飲料では、爽快感(早)、バランスの良い王道商品(適)、濃厚なレモン感の贅沢品(完)など、様々なコンセプトの商品が可能になることを紹介した。

■TRPA1/TRPV1活性に着目した炭酸感増強技術の開発
高砂香料工業株式会社 柏木貴裕氏
強い炭酸感が求められる傾向にある昨今、香料を用いた炭酸感増強技術を開発した。炭酸感はTRPチャネルのTRPA1を介した刺激感であるといわれているが、本研究では【炭酸感=刺すような刺激(TRPA1)+灼熱感(TRPV1)】と定義し、TRPA1/V1双方に関与する香料原料を探索した。

すると、ジエステル化合物類においてTRPA1/V1への応答が増強したことが判明。炭酸水にジエステル化合物を配合し、炭酸感の増強を確認。官能評価においても炭酸水やアルコール飲料で炭酸感を増強することが明らかにされた。さらに、炭酸を含まない製品にも炭酸様の刺激感を付与できる香料も新たに発見した。

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