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三菱ケミカル、養殖魚において有胞子性乳酸菌の斃死抑制効果を確認

三菱ケミカルグループと近畿大学大学院農学研究科は、有胞子性乳酸菌であるHeyndrickxia coagulans SANK70258(以下 H・コアグランス)がマダイの粘膜バリアの強化に関わる杯細胞の数を増加させ、斃死(へいし:感染症などで突然死すること)を抑制することを明らかにした。この研究成果論文は2024年11月22日「Frontiers in Aquaculture」に掲載された。

試験では、魚類においてH・コアグランスの摂取が免疫機能や生残性の向上に影響を与えるのかを検証。45日齢のマダイを、H・コアグランスを給与したグループ(H・コアグランス群)と、H・コアグランスを給与させていないグループ(対照群)に分け、63日間の飼育試験を行った。

その結果、試験期間中の生存率が、H・コアグランス群は対照群と比較して有意に高値を示した。また、腸管免疫・粘膜バリア機能に関わるムチンを産生する杯細胞の数について、H・コアグランス群が対照群と比較して有意に高値を示すことも明らかになった。H・コアグランスの摂取が杯細胞数を増加させた結果、免疫機能の亢進が誘導され、生存率を向上させる可能性が見出された。

※ヘンドリクシア・コアグランス(Heyndrickxia coagulans SANK70258)
有胞子性乳酸菌は、胃酸で死なず、生きたまま腸まで届くプロバイオティクス。一般的な乳酸菌とは異なり、胞子を形成するため酸や熱に強く、菌が死滅せずに腸で発芽して増殖を開始するという特性を持つ。ヒトにおいて便通改善、風邪様症状の緩和、肌状態の改善などの作用が報告されている。
2020年、2023年に学名の変更が行われており、Heyndrickxia coagulans SANK70258、Bacillus coagulans SANK70258、Weizmannia coagulans SANK70258は同一の株を指す。

論文情報
タイトル:Exploring spore-forming lacticacid bacterium Heyndrickxia coagulans SANK70258 as apromising probiotic for red seabream (Pagrus major)
著者:白樫柊児、青木隆一郎、小林靖尚、相田正典、山田良一、谷口亮人
雑誌名:Frontiers in Aquaculture
リンク先:
https://www.frontiersin.org/journals/aquaculture/articles/10.3389/faquc.2024.1450537/full

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