厚生労働省は2024年12月25日、大麻由来成分のTHC(テトラヒドロカンナビノール)が残留基準値を超過した製品が見つかった場合の対応について、各都道府県に通達(https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001364071.pdf)を出した。超過を確認した検査機関は直ちに地方麻薬取締部に検体を提出し、該当製品を扱う事業者は流通を停止した上で在庫を当局に引き渡すよう求めている。
12月12日に改正大麻取締法が施行され、THCの残留基準値が設定された。この基準値を超える製品は麻薬として規制される。今回の通達は、基準超過品が発見された際の具体的な対応手順を示したもの。通達によると、検査機関がTHC基準超過を確認した場合、検体を地方麻薬取締部に提出するとともに、製品の詳細情報や事業者情報を当局に報告することが義務付けられる。また再検査のための検体保持も禁止される。事業者側には、検査で基準超過が判明した場合、直ちに製品の流通を停止し、保有する在庫量と保管場所を麻薬取締部に報告した上で、製品を提出するよう求めている。
CBDオイルやヘンプ由来原料など、Δ9-THCを微量に含む製品を扱う事業者にとっては、今回の改正施行によりコンプライアンス上のリスクが一段と高まった格好だ。製造工程や検査体制を厳密に管理し、もし残留限度値を超過する製品が判明した場合には、法令に基づく早急な対応が不可欠となる。今後は業界全体として、適正な検査手順や社内教育を徹底し、社会的信用を損なわないように備える姿勢が求められるだろう。
Δ9-THC規制強化に対応――検査機関が示すカンナビノイド製品の新指針
カンナビノイド検査機関連絡協議会は12月26日、CBD製品市場の健全な発展を目指す包括的なガイドライン(https://ctllc.or.jp/guidelines)を発表した。
同ガイドラインは、12月12日に施行された改正大麻取締法による新たなTHC規制への対応を主眼としており、特に検査機関としての責務と、CBD製品を取り扱う事業者への具体的な指針を示している。注目すべき点として、THCの検査タイミングについて、輸入前の必須検査に加え、サプライチェーンの各段階での検査実施を推奨している。これは、THCの偏在性や変性リスクへの対応を重視したものだ。
また、残留限度値を超えるTHCが検出された場合の対応について、厚労省の25日付発出の事務連絡(https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001364071.pdf)に沿った具体的な手順を示している。特に、検査機関が麻薬研究者免許を保有していることを前提に、法令に則った適切な対応を明確化している。
市場拡大の観点からは、以下の施策が注目される
1. 検査履歴閲覧システムの導入による透明性確保
2. 原産国・製造国の明記推奨による信頼性向上
3. 製品表示の統一化による消費者理解の促進
4. 変性リスクを考慮した製品設計指針の提示
なかでも、酸性のCBD飲料や菓子類などについて、THCへの変性リスクを考慮した製品設計の重要性を指摘している点は、今後の製品開発における重要な指針となりそうだ。
昨今、CBDを含むカンナビノイド製品は、健康志向の高まりや新たなウェルネス需要を背景に市場が拡大しつつある。しかし、残留限度値を上回る製品が流通すれば法令違反や社会的信用失墜に直結しかねない。本ガイドラインは、法令遵守と消費者保護を最優先としながら、CBD市場の健全な発展を支援する実務的な指針として機能することが期待される。市場の動向に応じて適宜改訂される予定とされており、業界の発展に合わせた柔軟な対応が見込まれる。