今月17日都内において、(株)はくばく(山梨県中央市)主催のメディア向けプレスセミナーが開催された。
冒頭、日本食物繊維学会理事長で大妻女子大学教授の青江誠一郎氏は、2025年からの食事摂取基準で1日あたり少なくとも25gの食物繊維摂取が推奨されるが、現状では日本人の摂取量は平均15g前後と大きく不足していると指摘。1955年には22.5gを摂取していた日本人が、穀物離れにより食物繊維摂取量が減少し、当時は食物繊維の44%を穀物から摂取していたのに対し、現在は約2割にまで低下していると説明した。
青江氏は「発酵性食物繊維」の重要性を強調し、腸内細菌によって発酵されて生成される短鎖脂肪酸が免疫機能向上など様々な健康効果をもたらすと解説。大麦ご飯を1日1回、発酵性食物繊維を2g程度摂取することで免疫機能が向上し風邪症状が軽減されるという研究結果も紹介した。
続いて、全国製麦工業協同組合連合会専務理事の馬木紳次氏は、全国の学校給食実施校の約6割で麦ご飯給食が実施されており、子供向け副読本「大麦の話」を累計145万部配布するなど食育活動に取り組んでいると報告した。
今回のセミナー主催のはくばく社長の長澤重俊氏は、大麦・雑穀市場が約10年前の70億円から2024年には140億円に成長していると説明。特に2016年のもち麦ブームと昨年からの第2波で市場が拡大しており、もち麦特有の強い匂いを改善するなど製品開発に注力していると述べた。
また、同社開発部の管理栄養士・金子氏は、大麦が食物繊維1gあたりの価格で野菜やキノコ類の4〜10分の1と経済的であると説明し、もち麦・雑穀ごはんの調理法や簡単な「ご飯の友」レシピを紹介した。
セミナーでは「お米にプラス」という新たな食文化の提案とそのエビデンスに基づく健康効果が示され、穀物からの食物繊維摂取増加による健康改善と農業振興の両立を目指す取り組みが紹介された。