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時代ニーズを反映した誌面づくりを目指して

 ――600号のあゆみを振り返る


『食品と開発』が今号で通巻600号を迎える。
本誌の前身は、1958年に副食の専門誌としてスタートした月刊『食品』だが、その副食の中身が漬物と佃煮であるから当時の食生活が偲ばれる。『食品開発』という当時としては斬新な名前で再スタートしたのが1966年で、それ以後40余年(85年に現在の誌名『食品と開発』に変更)、新しい食品開発に役立つ情報提供を編集方針に誌面づくりに励んでいる。
月刊『食品開発』としてスタートした当時の状況は想像するしかないが、戦後20年を経て加工食品が急激な伸びを示している只中で、解決すべき技術的課題は山のようにあったと思われる。その頃の大きなテーマは、おいしさとインスタント性の追求だ。既にインスタントラーメンが世の中に登場して7~8年経た頃で、製品の改良は続き、次々とヒット商品が生み出されていた時代だ。
インスタントラーメンのついでに加工食品の歴史を振り返ると
  60年代はスプレードライ技術で粉末スープの技術が確立し
  70年代にはフリーズドライ技術の普及で格段に具材の品質が良くなり
  80年代には別添の液体調味料付き製品やノンフライ麺が登場
  90年代にはレトルト化した調味済み具材の高級品が登場する
など、技術開発とともに市場の拡大が続いてきた。
本誌が辿ってきた40余年の歴史のうち、前半の20年は加工食品のおいしさ、インスタント性の追求のための技術情報をお届けすることが本誌の役割だったが、90年代に入ると“健康志向”というテーマが食品開発の流れに加わり、本誌でもいち早く健康素材の情報を掲載してきた。
思い出深いのは、文部省特定研究でスタートした食品機能研究で、当時の厚生省はこの研究に基づき機能性食品の制度化をスタートさせた。その機能性食品導入に向けた最初の論文が本誌に掲載された。また、米国でもこれに呼応して始まった国立ガン研のデザイナーフーズ研究が初めてわが国に紹介されたのも本誌であった。
さらにこの10年はO-157に始まり大規模食中毒事故、GMO、食物アレルゲン、残留農薬などの相次ぐ事故やそれに対応する規制により、食の安全性確保技術は食品の技術情報の中でも重要な位置を占めるようになり、本誌もここ数年は安全性情報の掲載を増やしている。
“健康と安全”というテーマは、近年の2大テーマとなってきているが、それを支える技術は60年代、70年代から連綿と続くSD、FD、レトルト、膜、等々の技術で、各単位操作の改良や組み合わせにより、高度なニーズに応えた食品が生み出されるようになっている。
本格的な高齢化社会を迎え、当面、健康や安全情報の重要性は続くであろうし、さらに環境、資源の有効活用などの情報ニーズは増していくものと思われる。本誌では今後とも時代に合わせた情報提供を心がけていきたいと考えている。

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