食品加工の手法として、過熱蒸気という言葉を巷で耳にするようになって久しい。大気圧下で100℃の飽和蒸気をさらに加熱して得られる過熱水蒸気を食品加工に利用した場合、表面硬化が起こりにくい、乾燥スピードは速い、酸化を抑えた加工ができる、殺菌・脱臭も可能などのメリットがあり、食品の乾燥、焼成・焙煎、蒸し調理、殺菌を目的とした利用が拡がっている。しかし、過熱蒸気の利用価値は食材によっても、目的によっても異なり、最適なシステムにするには加工現場ごとの利用ノウハウの蓄積が必要だ。既に過熱蒸気利用で製品化されている食品も多々見られるが、品質、経済性など真価が問われる時を迎えており、今後の各社の開発力に期待がかけられている。
本稿では、過熱蒸気関連システムの食品加工分野でのと動向と応用機器の特性、装置の最新の動きを紹介。
過熱水蒸気の特性を生かした食品への応用展開の可能性について
大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科教授 宮武 和孝
過熱水蒸気の食品加工への応用
北海道立食品加工研究センター 阿部 茂
過熱水蒸気による加熱の基礎と装置開発
大阪市立大学大学院 工学研究科 伊與田 浩志
<主な内容>
●過熱水蒸気の特性を生かした食品への応用展開の可能性について
はじめに
1.過熱水蒸気発生装置について
2.食品加工装置市場と新たな用途展開について
おわりに
●過熱水蒸気の食品加工への応用
はじめに
1.過熱水蒸気の諸特性
2.過熱水蒸気の昇温特性
3.表面構造の変化による色調改善
4.油脂酸化抑制効果
5.歩留まり改善効果およびエキス損失抑制効果
6.表面殺菌効果
おわりに
●過熱水蒸気による加熱の基礎と装置開発
はじめに
1.乾燥分野での歴史
2.過熱水蒸気の位置づけ
3.加熱条件の影響と装置開発
まとめ
●過熱蒸気発生装置と食品関連応用機器の動向
・過熱蒸気発生原理と発生装置
・過熱蒸気利用装置
◆過熱蒸気発生装置・応用機器の有力サプライヤー◆
パイコーポレーション
ヒラカワガイダム
大川原化工機
清本鐵工
シブヤマシナリー