国内外を問わず、DHA・EPAの市場拡大が続いている。2016年には米国EPA/DHAオメガ3業界団体GOED(Global Organization for EPA andDHA Omega-3s)が、オメガ3の世界市場規模は約3兆1400億円に上るとの試算を発表。サプリメントや医薬品をはじめ、幼児向け食品や一般食品などの分野での伸長を受け、「2018年から2023年にかけての年平均成長率は7%を超える」との試算も出ている。国内では機能性表示食品の受理が134品目を突破。サプリメントをはじめ、飲料、グミ、調理食品、粉ミルク、スポーツニュートリションなど食品形態を問わない提案が進んでいる。研究分野では、糖尿病リスクの軽減、脳機能サポートなど従来の機能性に加えて、抗アレルギー、メンタルケアといった研究も報告されており、新たなヘルスクレームが期待される。
■機能性表示食品140品前年比2ケタ増も
国内では、DHA・EPAを機能性関与成分に含む機能性表示食品の受理数が140品に(4 月24日現在)。機能性表示食品が1,700品目を超えるなか、全体の約1割、関与成分別では第3 位の人気素材として市場をけん引している。ヘルスクレームでは「中性脂肪の軽減」が最も多く、「認知機能のサポート」「記憶力・判断力の維持」などの表示も。DHA・EPAは魚油由来ということもあり、一般加工食品との親和性も高く、一般食品への応用も進んでいる。なかでも受理数トップを誇る日本水産(届出受理58品:4 月15日時点)では、サプリメント、ソーセージ、冷凍食品など、様々な商品群を展開。海外ではDHAの配合が推奨されている乳幼児向け粉ミルクや、スポーツシーンへの提案も進めており、新たな市場を創出している。アサヒグループ食品では、機能性表示食品「ディアナチュラゴールド」シリーズなど5 アイテムをラインアップ。「EPA・DHA」配合シリーズが好調で2018年の販売実績は前年比23%増となったという。日産化学では、DHA含有油脂を70%配合した高純度のDHAサプリメントが昨年末に機能性表示食品を受理。来月から販売を開始する。従来品の売れ行きも好調で、近年ではベトナムなどの東南アジアを中心に売り上げを伸ばしているという。極洋は「DHA・EPAプラスクリルオイル」が近年順調に売り上げを伸ばしているという。
■原料サイドは各社引き合い増、機能性表示対応素材が好調
末端製品市場の伸長により、原料サイドの動きも活況を呈している。国内向けでは機能性表示食品対応素材としての提案が加速、海外大手原料メーカーとタッグを組む企業も見られる。海外向けでは東南アジア向けの提案が順調に推移、特に中国や台湾で引き合いが強くなっているという。ニッスイの原料発売部門(日本水産ファインケミカル事業部)では、健康食品向け原料の供給が順調に推移。EPA、DHA共に濃度別に幅広くラインアップしており、機能性表示食品の採用増が底上げとなり、サプリメントや一般加工食品などを対象に、他社商品での採用が年々増加しているという。備前化成では、機能性表示食品対応のDHA高含有精製魚油「DHA70BAPT」を提案。“不飽和脂肪酸高純度化技術”を活用することで、DHAを70%以上顔料することに成功したという。「認知機能サポート」で「中性脂肪低下」で機能性表示食品の受理実績を有している。タマ生化学では、DHA・EPAの供給量が前年比2 割増に。昨年上市したEPA品70%品の引き合いが増加したという。同社原料工場ではハラル認証を取得しており、ハラル対応DHA・EPAとして海外向けにも提案を強化している。ユニテックフーズでは、マイクロカプセル化製法で製造したオメガ3 パウダーで脳機能改善をテーマにSRを用意。サプリメント以外にも、飲料、製パン、グミ、調理食品など幅広い加工食品で採用されているという。日油では、独自の精製、脱臭技術を用いて魚臭を抑えた原料の供給が順調に推移。なかでも国内の粉ミルク製品では配合実績シェアトップを誇っており、近年では無臭タイプの粉末原料「サンオメガ®DHAパウダー10」への注目があつまっているという。大倉ケミテックは、昨年秋よりチリにある大手原料メーカーゴールデンオメガ社の日本総代理店として魚油の提案を開始。既にサプリメントで採用実績があるほか、今年にはDHA・EPAを高含有したパウダーの発売も開始するという。ケニーでは、DHA・EPAを規格化したサプリメント向けの原料が国内外で安定した引き合いがあるという。特に近年では海外市場からの引き合いが強く、台湾、ベトナム、中国などの東南アジアを中心にDHAオイルの提案を強化している。
本記事は「健康産業新聞 1667号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら
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