団塊の世代」の全てが75歳以上の後期高齢者になる2025年、認知症患者が700万人を超えるとされる中、脳の健康をサポートする健脳素材および健脳サプリメント最終製品の動きが活発化している。「中高年の加齢に伴い低下する、認知機能の一部である記憶力を維持する」「年齢とともに低下する認知機能の一つである注意力(事務作業の速度と正確さ)の維持と計算作業の効率維持に役立つ」旨の表示を実現した機能性表示食品は8日現在、225品目が受理され、そのうち112品目が販売されている。昨年初めて受理された機能性関与成分も見られるなど、届出は依然として活発に行われているもようだ。政府肝煎りの「認知症施策推進大綱」も新たに追加した予防策よりも、従来通り認知症患者への対応に重きが置かれている感が否めない中、予防・未病対策分野を担う健康業界が果たす役割は大きい。
■「認知症施策推進大綱」数値目標で波紋
厚生労働省によると、2018年の認知症患者者数は500万人を超えたものとされ、現在65歳以上の高齢者の約7 人に1 人が認知症と見込まれている。また、いわゆる「団塊の世代」の全てが75歳以上の後期高齢者になる2025年には、認知症患者は700万人を超えるとの推計値を発表している。こうした状況を踏まえ、政府は昨年6月18日の関係閣僚会議で「認知症施策推進大綱」を決定。
これは2015年に策定された「認知症施策推進総合戦略」(新オレンジプラン)の後継に当たるもので、昨年5 月に公表した素案では新たに「予防」という観点を打ち出し、「70代の認知症の人の割合を10年間で1 割減らす」との数値目標を提示したものの、反発が多かったとして、大綱では参考値扱いに格下げされた。
大綱では認知症を「だれもがなりうるもの」と明記。「共生」と「予防」を車の両輪として施策を推進していく。「共生」とは、認知症の人が、尊厳と希望を持って認知症とともに生きる、また、認知症があってもなくても同じ社会でともに生きるという意味であり、これは以前からの考え方を踏襲。
一方、波紋を呼んだ「予防」については、「認知症にはならない」という意味ではなく、「認知症になるのを遅らせる」「認知症になっても進行を緩やかにする」と意味であることを強調。予防を含めた認知症への「備え」としての取組に重点を置き、結果として70歳代での発症を10年間で1歳遅らせることを目指す。
■健脳素材&サプリメントの動き活発化
今回の大綱も結局のところ、先の新オレンジプランと同様、国の対策はあくまで認知症患者への対応に重きが置かれている感は否めない。こうした中、予防・未病対策分野を担う健康業界が果たす役割は大きい。
健康食品業界では、「中高年の加齢に伴い低下する、認知機能の一部である記憶力を維持する」「年齢とともに低下する認知機能の一つである注意力(事務作業の速度と正確さ)の維持と計算作業の効率維持に役立つ」旨の表示を実現した機能性表示食品は8 日現在225品目となり、前年同時期から82品目も増加した。
素材別では、「イチョウ葉由来フラボノイド配糖体、イチョウ葉由来テルペンラクトン」が最も多く107品目、次いで「DHA・EPA」の組み合わせが57品目、「DHA」単体がと14品目となっている。さらに「大豆由来ホスファチジルセリン(PS)」が11品目、「プラズマローゲン」と「ラクトノナデカペプチド」が各10品目と続く。
このほか、「クルクミン」や「ルテイン・ゼアキサンチン」「バコパサポニン」「ヒスチジン」「ジオスゲニン」―― など、2019年に初めて受理された素材も少なくない。
本記事の続きは「健康産業新聞1684号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら
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