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特集【β-グルカン】世界市場400億円規模へ,“免疫”テーマに国内での流通拡大に期待

欧米を中心に海外では、免疫向上を図るサプリメント「immune supplement」カテゴリーの主要素材の一つとして君臨するβ-グルカン(β1-3グルカン)。高い免疫調節作用を持つ素材として世界中で研究されており、天然の免疫調節物質としては有数のエビデンスを誇る。サプリメントは米国を先進国とし、世界市場は現在4億ドル規模のマーケットが形成されており、今後も成長拡大が見込まれている。一方で大麦などに含まれるβ-グルカンでは、「冠動脈疾患リスク低減」、「コレステロールや血糖値の上昇抑制」といったヘルスクレームが欧米で認められており、国内でも機能性表示食品の登場によって、「腸内環境改善」「LDLコレステロールの低減」の表示が可能になった。国内では認知度向上が課題だが、関連製品は徐々に広がりつつあり、今後さらなる市場拡大に期待が寄せられている。

■世界市場では年成長率7%で推移免疫訴求で国内での拡大に期待

欧米では酵母由来のβ-グルカンは非常にポピュラーな成分で、1940年代にパン酵母の細胞壁から発見されると、世界的にあらゆる研究が行われてきた。酵母由来β-グルカンは、「β-1,3/1,6グルカン」と呼ばれ、主に免疫機能への作用が報告されている。60年代初頭から免疫システムに関する多くの有効性データが発表されたことを皮切りに、これまでに生体防御機能や腸管免疫機能に関連する研究成果が積み上げられてきた。毎週50本以上の科学レポートが発行されているともいわれ、天然の免疫調節物質としてのエビデンスはトップクラスとなっている。

2000年には、β-グルカンの特異的な受容体デクチン- 1 が発見され、「自然免疫受容体のデクチン- 1 の活性化が貪食シナプスの形成によって引き起こされる」という論文が英科学誌ネイチャーに掲載されると、“世界で初めてマクロファージの貧食によるメカニズムが解明された”として、研究成果は大きな話題を呼んだ。これらのエビデンスも追い風になり、米国をはじめとした海外では、免疫機能を高める「immune supplement」として酵母由来β-グルカンのサプリメントが広く利用されている。米国のリサーチ会社の調査では、β-グルカンの世界市場は4 億ドル規模といい、年平均成長率も7.5%で推移しているという。

近年、国内でも酵母由来β-グルカンへの関心は年々高くなっており、機能性研究も活発に行われている。産業技術総合研究所バイオメディカル研究部門免疫恒常性研究特別チーム長の辻典子氏は「β-グルカンの摂取が全身性の細胞性免疫を増強し、感染・炎症やがん増殖の予防に寄与する可能性が考えられ、小腸の多糖センサーを介して身体の恒常性がより確実に維持される可能性を示すなど、健康長寿やQOL改善につながる」と説明する。

また、神戸大学大学院農学研究科生命機能科学専攻教授の水野雅史氏は、「潰瘍性大腸炎やクローン病など、消化管の慢性炎症疾患である炎症性腸疾患(IBD)について、食品中のβ-グルカンによる抗炎症
効果がIBD患者に有効である」と指摘する。現代が抱える重篤疾患にもβ-グルカンの機能性が一役買いそうだ。

 

本記事の続きは「健康産業新聞1685号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら

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