新型コロナ禍で、免疫素材の代名詞とも言えるキノコに注目が集まっている。2月下旬以降、原料サプライヤーへの問い合わせが増加。一昨年より海外でスーパーフードとして人気が高まり、国内でも徐々に再評価されていたキノコ素材にさらなる追い風が吹いている。機能性研究も活発化しており、免疫賦活のほか、コレステロール低下、整腸、血圧抑制、抗酸化、脳機能改善、抗アレルギー、抗ロコモ、抗腫瘍に関するエビデンスが蓄積されている。なかでもβ-グルカンと異なる作用機序で免疫制御分子を抑制する作用メカニズムが明らかとなったエルゴチオネインには、国内外から注目が集まっている。また新たな機能性表示食品も登場。免疫分野での届出にも期待が高まる。
■免疫サポート分野で再評価
日本では、2000年代初頭のアガリクスショック以降、健食市場でのキノコ素材には逆風が吹いていたが、海外でのスーパーフードとしての人気に後押しされる形で、近年市場が回復傾向にあった。こうした中、巻き起こった今回の新型コロナ騒動。キノコ素材を取り扱う原料サプライヤーには、免疫サポート用途での問い合わせが増えており、「前年同月130%以上の伸び」「免役対策で商品化を急ぐメーカーからの問い合わせが増えた」「数種類のキノコを組み合わせたプレミックス原料の採用が進んだ」などの声も。ハナビラタケやヤマブシタケなど女性サポート、美肌、脳機能改善分野で近年、利用が進んだキノコ素材も免疫対応素材として再評価されている。国民のセルフメディケーションの意識が急激に高まる現在、免疫賦活作用に関するエビデンスが豊富なキノコ素材への注目が増していることがうかがえる。
■エルゴチオネインに期待感高まる
キノコは、β-グルカン、ビタミンD、食物繊維、アミノ酸、多糖類などを豊富に含む。古くから健康維持を目的に漢方素材として活用され、現在は、サプリメント、健康茶、ふりかけ、ソバ、ヘルシースナックなど健康食品から一般加工食品まで幅広く利用されている。一口にキノコといってもその種類は膨大で、日本に生息するキノコは5,000
種以上。そのうち約200種が食用キノコとして区分される。健食用途では、冬虫夏草、霊芝、アガリクス、メシマコブ、タモギダケ、ヤマブシタケ、ハナビラタケ、ベニクスノキタケなどが流通。大学研究機関、健康食品メーカーが機能性研究に注力。免疫賦活をはじめ、コレステロール低下、整腸、血圧抑制、抗酸化、脳機能改善、抗腫瘍―など様々な有用性が明らかとなっている。最新の学術研究では、タモギタケやササクレヒトヨタケに含まれるエルゴチオネインに注目が集まっている。東洋大学、加藤和則教授の最新研究では、免疫制御分子の産生抑制効果について、キノコの免疫賦活成分としてよく知られているβ-グルカンとは異なる作用メカニズムが確認され注目を集めた。この研究成果は、今年6 月のアメリカ癌学会でのポスター発表として採択されており、国内外で注目を集めている。エルゴチオネインは免疫賦活作用のほか、認知症改善、美肌などに関する研究も進展している。
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