キリンホールディングスの独自素材「プラズマ乳酸菌」を関与成分とした5商品が機能性表示食品として受理され話題を呼んだ“免疫表示”。業界が待ち望んだ免疫領域での受理品が登場したことで、機能性表示食品市場はさらに活気づくと予想される。
機能性表示食品制度の歴史に新たな1ページが刻まれた。キリングループが届け出たプラズマ乳酸菌を含む商品5アイテムが8月、「免疫機能の維持に役立つ」表示で受理された。2015年の制度開始以来、免疫での受理は業界の悲願といっても過言ではなく、機能性表示食品制度はセカンドステージに突入した。
キリングループは9月28日、都内で記者発表を開催し、プラズマ乳酸菌の新商品をお披露目。調剤向けチュアブルタイプのサプリメント『キリンiMUSEprofessional プラズマ乳酸菌』をはじめ、ペット飲料『キリン iMUSE レモン』など計6 種を今月より順次販売を開始する。
キリンビバレッジマーケティング部主任の遠藤楓氏によると「近年横ばいだった乳酸菌飲料市場が、コロナ禍での免疫維持ニーズの高まりから今年に入り大きく伸長した」としており、8月単月のiMUSEブランドの飲料シリーズの売上は前年比2倍以上、1 月からの累月でも前年比2倍以上と好調だ。機能性表示食品としてリニューアルすることで「飛躍的な成長を狙う」としている。当面は飲料商品を中心とした売上が増加していくとみられる。
この記者発表が行われた翌週、間髪入れずに新たに2社の届出受理の発表があった。キリングループのファンケルと小岩井乳業だ。ファンケルはプラズマ乳酸菌を配合したサプリメント『免疫サポート』2種、小岩井乳業からは『小岩井 i MUSEドリンクヨーグルト』など2 種が受理され、「免疫機能の維持」を表示する新商品は累計4社 10品に。
グループ企業のそれぞれの強みを活かした商品展開で、「免疫」表示の市場形成に向け下地が整いつつある。一方でキリンでは、BtoB事業にも本腰を入れる。同ホールディングス執行役員でヘルスサイエンス事業部長の佐野環氏は「キリングループでの拡大はもちろん、パートナー企業との連携や、海外事業の注力などBtoB事業にも本腰を入れる」と説明。
同事業部主幹の藤原大介氏も「免疫システムは、人種・性別問わず共通。海外での展開も期待できる」と話す。すでに米国ではプラズマ乳酸菌を配合したサプリメントの販売がスタートしており、「ウェビナーによる商品発表を行ったが、想像以上の反響だった」という。こうした実績をベースに「国内でも外食、中食問わず、幅広い食品への応用を目指していく」としており、当面はプラズマ乳酸菌が市場を席巻しそうだ。
こうなると気になるのが、プラズマ乳酸菌に続く第2の免疫対応素材。今回の受理実現の理由は“ガイドラインに準拠した届出資料であった”とされているが、免疫表示について消費者庁では、「他の事業者が同様に同じような知見が蓄積されるかどうか。どの程度の知見があるのかという点によりけり」とコメントする。
免疫で初の届出受理は健康産業界に大きなインパクトを与えたが、本当の意味での市場形成はプラズマ乳酸菌に次ぐ第2弾、第3弾の成分の登場であり、チャレンジ企業の動向に注目が集まる。
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