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高齢ペット増加で市場拡大(特集/ペットサプリ)

コロナ禍でストレスや不安を感じる人も多く、コンパニオンアニマルとしてのペット需要が高まっている。ペットのQOL向上を目的としたペットサプリ市場も拡大しており、2021年には73億円と直近5年間で2割近く成長するという試算も。ペットとして最もメジャーな犬猫の平均寿命は年々上昇しており、1匹に対しての支出金額も増加している。ペットサプリの訴求トレンドは、免疫賦活、骨・関節サポート、睡眠サポート、オーラルケアなど。プラセボ効果のないペットで効果が証明されたことで、飼い主が自らの健康増進のために購入するケースもみられる。またコロナで飼い主と過ごす時間が増えたことで分離不安症を発症するペットも。CBDなど抗ストレス系の素材も利用が広がっている。

飼育頭数は減少、平均寿命は増加

(一社)ペットフード協会の全国犬猫飼育実態調査によると、2019年の犬の飼育頭数は約879万(前年比1.2%減)。猫は977万(同1.3%増)となっている。最近5年間は、犬の減少が続く一方で、猫は緩やかな増加が続いている。

最近のペットは、動物医療の発展もあり、ヒトと同様に高齢化が深刻化している。犬の平均寿命は14.4歳、猫は15.0歳。10年前と比較して犬猫共に1.0歳以上、上昇している。これはヒトに換算すると約4歳に相当し、飛躍的な伸びを見せている。高齢化に伴い、医療費が高騰する構図はヒトと同様で、1頭当たりへの平均支出金額は、犬が1 万2,594円(同9 %増)、猫が7,962円(同6 %増)と、いずれも増加している。

こうした中、健康的なペットフードやサプリメントが増加している。富士経済の調査によると、2019年の国内ペット関連商品の市場規模は4,771億円(前年比2.3%増)と推計。うちペットフードが7割以上のシェア率を占めている。

傾向としては、犬の飼育頭数の減少から標準的なペットフードが苦戦する一方で、ペットが抱える症例や悩みに対応したプレミアムフードは724億円(同3.7%増)と伸長。同様にペットの健康維持を目的とするペットサプリ市場は2021年までに73億円と直近5年間で2割程度成長すると予測されている。

健康食品素材を扱うサプライヤーからは、「ニッチな市場だが無視できない所まで来ている」「ペットはプラシーボがないので体感性の証明になる」といった声が聞かれている。

飼い主のサプリ購入につながるケースも

ペットサプリは、飼い主自身の体感を基準に商品を選択する傾向が強く、乳酸菌や酵素などヒト向けで人気の高い素材を配合した製品が数多く上市されている。

一方では、プラセボ効果のないペットで体感が得られたことで、逆に飼い主が同じ素材を用いたサプリメントを購入するケースもみられる。冬虫夏草サプリを展開するモノリスでは、300以上の動物病院への導入、およびECでの販売を展開し、前年比2ケタ増の売上を記録。好調なペットサプリがヒト向けサプリの販促にも繋がり、相乗効果で売上拡大に貢献したという

トレンドは免疫、ストレスケア

ペットサプリの主要な販売チャネルは、動物病院、ペットショップ、Eコマースなど。近年は、動物病院でのシェアが拡大。治療補助や疾患の再発防止、高齢ペットのQOL向上などを目的にサプリを利用する獣医師が増えている。

獣医師専売品になるためには、臨床試験データの収集などハードルが高い分、飼い主からの信頼も厚い。メーカー側には、自社製品の安全性、信頼性を保証できるメリットがあり、安定した販促が見込めるチャネルとなっている。

ペットサプリの主な配合素材は、乳酸菌、ナットウキナーゼ、酵素、冬虫夏草、グルコサミン、コンドロイチン、アスタキサンチン、米ぬか抽出物――など様々。訴求別では、免疫賦活や腸内改善、関節サポート、オーラルケアなどがトレンドになっている。

また犬猫(特に猫)は美味しくないサプリには全く手を浸けない。マグロやサーモンオイルを用いた魚風味のマスキングが人気で、食べやすい形状(ペースト、リキッド、オイル)に加工されている。口内に貼りつける可食性フィルムや上部をカットするタイプのソフトカプセルなどユニークな剤形も見受けられる。

抗ストレス素材としてCBDの利用も

今年は新型コロナ禍で、飼い主の在宅時間が増え、ペットと接する時間が長くなったことで「分離不安症」を発症するペットが増加している。飼い主と離れて過ごす不安から精神的・肉体的なストレスを抱え、部屋中を荒らしたり、下痢や嘔吐、自傷行為など様々な問題行動を起こしてしまうという。

こうしたペットの分離不安を和らげるサプリメントとして注目されているのがCBD(カンナビジオール)。ペットの睡眠改善、ストレス軽減、抗炎症などを訴求したCBDオイルが上市され、動物病院やペットショップなどで徐々に採用が広がっている。

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