DHA・EPAの市場拡大が続いている。米国EPA・DHA オメガ3 業界団体Global Organization for EPA and DHA(GOED)によると、2020年の世界市場規模は14億9,000万ドル(前年比3.6%増)。国内では2021年度、前年度の31品を上回る49品が新たに機能性表示食品として受理された。医薬品やトクホなどの実績を背景に、健食素材でも群を抜いた論文数を誇るDHA・EPAは、中性脂肪抑制、アイケア、脳機能改善など代表的なヘルスクレームを中心に、素材の機能が明確な点がアドバンテージに。末梢体温やレム睡眠などに着目した新たなヘルスクレームの届出受理や、スポーツニュートリション、美肌、抗メタボ市場へのアプローチも進んでいる。
膨大な論文数と豊富な治験 世界規模で市場成長続く
DHA(ドコサヘキサエン酸)・EPA(エイコサペンタエン酸)は、体内でほとんど生成されない必須脂肪酸の一種。原料には、サーモン、マグロ、サバ、イワシ、カタクチイワシ、ニシン、サバ、ホキ、タラなどの脂肪または油性の魚、魚の体または肝臓の油、オキアミなどの海洋甲殻類由来のクリルオイル、カラヌルオイル、イカ油、緑の殻のムール貝油、藻類などの海洋微生物などがある。
EPAは1960年代後半にグリーンランドに住むイヌイットが心臓病で亡くなる人の割合が低いことに注目した研究を機に、様々な機能研究が進行。ほぼ純度100%の医薬品(純品)は、高脂血症や閉塞性動脈硬化症の治療薬として応用されている。
DHAは1989年に英国で脳や網膜などの神経系に豊富に含まれる栄養素であることが分かり、日本の子供の知能指数の高さについて魚食(DHA)による影響を示唆する研究発表が話題に。
最終製品としては、サプリメント、機能性表示食品および飲料、乳幼児用栄養食品ほか、医薬品やペットフード、臨床栄養と医療食品など幅広く使用されている。一般食品では、EPAおよびDHAオイルを加えたミルクやバターまたはマーガリンベースのスプレッドなどの乳製品や、鶏用飼料に加えて含有量を強化した卵、クッキーや製パンなどの焼菓子などが流通。
米国EPA・DHAオメガ3 業界団体Global Organization for EPA and DHA(GOED)によると、2020年の世界市場規模は14億9,000万ドル(前年比3.6%増)に成長している。なおGOEDでは、1日当たり500mgの摂取(EPA・DHAを組み合わせて)を推奨している。
機能性表示食品、1年で49品目追加 新ヘルスクレームも
一方、国内でも中高年層を中心に底堅い成長が続いている。『健康食品・サプリメント+ヘルスケアフーズ+セルフヘルスケア市場実態把握レポート2021年度版』(インテージ調べ)によると、利用者は男性比率が高く、男性50~70代、女性60~70代をメインユーザーに、「ほぼ毎日利用している」が75%を占める。
利用目的のトップ3は、「血中脂質の抑制」(17.9%)、「健康維持・増進」(15.5%)、「血液サラサラ」(11.8%)で45%を占め、以下「認知症予防」6.9%、「栄養バランス」5.5%と続く。最終製品の推定市場規模813億円で、潜在市場規模1861億円と推測している。
機能性表示食品をみると…
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