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【健産online】拡大する中国健食市場 越境EC、次の手は?

中国の健康食品市場が、世界一のスピードで成長している。コンサルティング会社のローランド・ベルガーの調査によると、2005~15年の中国健食市場の成長率は13%で、米国の6%を大きく上回る勢いだ。15年に約1兆9700億円だった健食市場は、20年には約2兆9500億円に達し、いずれ米国を抜いて世界最大になるという。インターネット通販で海外商品を売買する電子商取引(越境EC)を利用する事業者が増加しているが、海外企業は、越境ECだけではなく、現地での直接販売にも力を注ぎ始めている。


越境ECは、現地法人を設立する必要がなく、一般貿易で要求される厳格な手続きを踏まなくても商品を輸出できる便利な手段として、利用する企業が年々増加している。健康食品は、越境ECモールで人気だが、中国への輸出規制は近年厳しくなっている。

中国で販売される健康食品は、原則として国家食品薬品監督管理局(CFDA)の許認可を受けることが必要だ。許可を得た海外製品の数は、中国製品と比べて圧倒的に少ない。ジェトロが昨年3月に発表した調査レポートによると、CFDAが2015年時点で許可した健康食品1万5927件(*)のうち、輸入品はわずか740件だった。また、ジェトロによると許可が出るまでには、申請から1~2年かかる場合もあるという。さらに、越境ECの通関手続きが来年から一般貿易並みに厳格化される見通しだ。中国は、16年4月に越境ECにも通関証明書を要求するなどの制度変更をしたが、混乱が生じたため、今年末まで通関証明書提出の延期を決めた。通関証明書には、産地証明書が含まれるなど、来年以降の輸出手続きは、現状よりも厳しくなると想定される。

このような状況下、越境ECを活用して中国市場で成功を収めた海外企業は、次の一手として現地企業との連携を進め、直接販売を強化している。米国のNBTYは16年、中国の湯臣倍健と合併会社を設立。また、中国や香港の企業がオーストラリアのVitacoやSwisseなど、越境ECを通じて中国市場で存在感を示した海外企業を相次いで買収した。ローランド・ベルガー社の調査によると、中国における健康食品の購入方法の割合は、インターネット通販が24%まで伸びたものの、直販は49%で、いまだ最大の販売ルートとなっている。越境EC支援を行うGL-Plazaジャパンの担当者は「輸出はいろいろな規制を受けるので、越境ECで高めた認知度に加えて、現地企業とのコネクションを得た会社は強い」と語る。「日本企業で同様の動きはまだ耳にしない」というが、拡大し続ける中国市場で新たな手段を模索する必要がありそうだ。

(*)いわいる「ブルーハット」と呼ばれる保健食品に加えて、生産許可を受けたものの合計数。


健康産業新聞主催 「指摘事項をクリアし、企業の主張を反映。公表後も耐えられるSRとは?」17年9月21日

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