世界の越境EC(電子商取引)市場が、2014年の2,360億ドルから、2020年には9,940億ドルに拡大する見込みであることが、経済産業省がまとめた「通商白書2018」でわかった。越境ECの利用者は、同期間に約3億人から9億人超になるとしている。中国人旅行者らが日本で購入した商品を帰国後にリピート買いする動きも広がっており、インバウンド商材に商機が訪れている。
白書によると、2016年の世界のBtoC電子商取引市場規模は前年比22%増の2.4兆ドル。中国が全体の4 割を占める最大のEC市場国となった。インドでもEC市場が急拡大、2024年に日本を抜いてアジア太平洋で2位、世界で4位のEC市場規模になる見込みとした。ECの世界市場は今後も年平均14.9%の成長率で拡大し、2026年に約9.7兆ドルになるとの推計を紹介している。
白書では「急速に変化する中国経済」を特集。中国は人口ボーナスを享受していたが、「生産年齢人口は2010年ごろにピークアウトしたと見られ、労働力の減少に直面している」と指摘した。一方で中国の1人当たり消費額は、2013年の約20万8,000円から、2017年には約30万4,000円に増加。衣食住に相当する「義務的支出」はほぼ横ばい、または低下傾向にあるが、交通・通信、教育・文化・娯楽、健康・医療のシェアが上昇しているとした。「この動きは、所得上昇や高齢化が進む中で、健康に留意するとともに、生活の質を高め、楽しむ方向に向かっているように見える」と分析している。
中国の消費者による日本からの越境EC購入額は、2017年は前年比25.2%増の1兆2,978億円に増加した。購入商品の上位は化粧品、食品、医薬品など。インバウンド消費にも大きく貢献する中、一度の旅行で“爆買い”することは少なくなってきたが、帰国後にリピーターになるという動きを紹介している。
本記事は「健康産業新聞 1649号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら
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