健康食品の表示で景品表示法等に抵触するケースが相次いでいる。
消費者庁は7月25日、“太りたい人のためのサプリメント”を販売していたLifeLeaf(東京都港区)に対し、表示に対する根拠が認められないとして、景品表示法に基づく措置命令を行った。ダイエットサプリに対する処分はこれまでに多数あるが、“太るサプリ”に対する措置命令は「消費者庁発足以降で初」(表示対策課食品表示対策室)という。
同社はやせ過ぎを気にしている人に向けて、スーパーフードや生姜、乳酸菌などを配合したサプリメント「ファティーボ」を販売。「女性らしい美ボディに!健康的にふっくらしたい」など、容易に“肥満効果”が得られるかのように表示していた。
消費者庁では、同社に表示の裏付けとなる資料の提出を要求。同社から提出された資料は合理的な根拠とは認められないものだった。同日記者発表した消費者庁によると、同社では成分の作用について、行き過ぎた解釈をしていたという。
また体験談について、「個人の感想であり、効果・効能を保証するものではありません」と記載していたが、消費者が表示から受ける効果に関する認識を打ち消すものではないとみなされた。
「太るサプリ」は、体質の問題で太れず不健康に見えるといった人に注目され、最近伸びている分野。栄養成分の吸収を補助することをコンセプトに開発されたが、メーカーによると、販社が拡大解釈した表現を行ってしまうケースがあるという。
なお本紙では、今回措置命令を受けた企業とは別の「太るサプリ」販社複数社に取材を試みたが、全社が取材に対応しなかった。
さらに消費者庁は翌週の7月30日、容易に著しい豊胸効果が得られるかのように表示して健康食品「pinky plus」を販売していたGLORIA(東京都文京区)に対し、景品表示法違反として、再発防止策等を求める措置命令を出した。ブラックコホシュやバレリアンなどを配合したカプセルタイプのサプリメントの販売にあたり、「『プエラリア』で満足できなかった女性」「94%が2カップ以上UPを実感」などと記載。消費者庁の求めに応じて提出された資料は、合理的な根拠とは認められないものだった。「個人の感想で、効果・効能を保証するものではありません」との記載もあったが、表示から受ける商品の効果に関する認識を打ち消すものではないと判断された。
課徴金納付命令は、初年度の16年度は1件だったが、17年度は機能性表示食品を含めて19件に上った。“個人の感想です”など「打消し表示」に対する監視も強めており、6月、景表法上の留意点をまとめ公表している。
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