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【17年国民健康栄養調査】Ca、VC、食物繊維など不足目立つ -80歳以上の2割が「低栄養」傾向、男性は外出不足が要因?-

厚生労働省は11日、2017年の「国民健康・栄養調査」の結果を発表、依然としてカルシウム不足の状況にあることがわかった。ビタミンCは20~50代で男女とも推奨量に達していない。また、今回初めて調査した60歳以上の「骨格筋指数」は、男女とも年齢が高くなるほど有意に減少。80歳以上は男女とも約2割が「低栄養」傾向だった。男性高齢者の場合、週1回以上の外出がない場合、「低栄養」の割合が跳ね上がることがデータで示された。

食物繊維、「目標量」遠く

調査は昨年11月に実施、栄養摂取状況の調査実施世帯数は約3,000。今回は毎年実施している項目に加えて、「高齢者の健康・生活習慣の状況」を重点項目とし、高齢者の筋肉量等を初めて調査した。

20歳以上の栄養摂取状況(1日当たり平均値)をみると、カルシウムは男女とも全年代で食事摂取基準の「推奨量」を下回った(左下表)。ビタミンCも不足が目立ち、20~40代は「推奨量」の8割未満となっている。

男性20~60代で「目標量」が20g以上となっている食物繊維の摂取量は、20~50代で15gを下回っており、成人で最も少ない20代は12.8gだった。女性の食物繊維「目標量」は20~60代で18g以上。摂取量は、20代が11.8g、30代が12.5g、40代が13.0g、50代が14.3g、60代が16.5gだった。

身体状況等の調査では、肥満者の割合は男性が30.7%、女性が21.9%で、この10年間大きな変化はない。「やせ」は男性が4.0%、女性が10.3%で、20代女性は21.7%に上っている。「糖尿病が強く疑われる者」は、男性が18.1%、女性が10.5%だった。

1日の平均睡眠時間が「6時間未満」の割合は、男性が36.1%、女性が42.1%。「ここ1ヵ月間、睡眠で休養が十分とれていない」と回答したのは20.2%で、2009年からの推移をみると有意に増加していた。睡眠で休養が十分取れていない割合は40代が30.9%で最も高かった。

高齢者の筋肉量を初調査

65歳以上の「低栄養傾向」(BMI20以下)は、男性が12.5%、女性が19.6%。この10年で「いずれも有意な増減はみられない」としており、高齢者の低栄養問題が改善されていない実態が浮き彫りになった。80歳以上は男女とも約2 割が低栄養傾向にあった。

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さらに「週に1回以上の外出」をしているかどうかで65歳以上の低栄養傾向を分析。男性の場合、低栄養傾向の者は、「外出あり」が11.5%だったのに対し、「外出なし」は28.6%に上った。一方、女性では外出の有無による有意な差は見られなかった。厚労省では、「因果関係はわからない」(栄養指導室栄養調査係)としつつ、女性の場合は外出しない場合でも家事などで動き回っていることが原因として推測されるとしている。男性の場合は外出しないとこうした運動をせず、食事量が減る可能性があるとしている。

こうしたことを踏まえて厚労省では、高齢者の低栄養対策を考える上で、「外出の有無が一つの指標になるかもしれない。今後の検討課題」(同)と話している。

また、今回初めて、サルコペニアの指標の一つとされる60歳以上の……

ウェブでは一部を公開。記事は「健康産業新聞 1652号」に掲載しています。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら

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