健康食品受託最大手のアピ(株)(本社:岐阜県岐阜市)は、第46期の売上高(速報値)が366億円9,000万円(前年比112.9%)と過去最高を更新。蜂産品、医薬品ビジネスが横ばい・微増で推移する一方で、健康食品のOEM事業が拡大、268億円を計上した。健康食品のOEMビジネスが大きく伸長した要因は、「リトルペットのライン増設」「物流センターの建設」など。積極攻勢をかける同社の代表取締役社長・野々垣孝彦氏に話を聞いた。
◆トレンドは“固形”から“液体”に
リトルペットボトル、ライン増設へ健康食品分野は268億円(構成比73.4%)、前年比約38億円のプラスとなった。
“妊活サプリ”などいくつか目立った受注ジャンルはあったが、バラエティー豊かな加工剤形が強みとなり、事業拡大に繋がったとみている。発酵・微粒子化・乳化など、様々な原料加工技術を有している点もアドバンテージに。
剤形別にみると、錠剤、カプセル、顆粒形態の受託加工が安定している一方で、リトルペットボトルやブローパックの受注増が顕著だ。飲料を含め、機能性を付加した一般食品形態の分野の受注増がベースアップに繋がった。トレンドは“固形”から“液体”に流れている。ブローパック、リトルペットボトルについては、ライン増設を計画している。
◆ブローパック、海外からの引き合いも
既存の単品通販は苦戦しているが、一般食品メーカー、グローバル企業、(コミュニケーションサイト等を活用した)ネット通販など、新規顧客の開拓も進んだ。ブローパックでは、アジアを中心とした海外ユーザーとの新規取引もスタートした。
今後、一般食品・ドリンク分野に機能性素材が採用されるケースは増えていく。その観点から、機能性を付加しつつ、味に影響を与えない素材の選定、更なるマスキングの技術開発も大きなテーマとなる。
◆物流センターを新設、「物流を制する」
本巣市に物流センターを新設する。今月着工し、来年6 月には稼働する計画。同時に、物流センターに、現在本社にある品証部隊を移管することで、製造エリアを拡張する。物流センターでは、少人化・ロボット化を積極的に進めていく。「物流を制するものが勝つ」のは、BtoBビジネスにおいても言えること。
◆“ノウハウの応用”を
『API’s ODM』戦略を掲げて1年が経つ。ユーザーとアピ、お互いのポテンシャルを引き出し、付加価値のある商品を創造している。受託分野においても価格競争には限界がある。
当社は、1万品目を超えるOEM供給実績を有しており、そのノウハウや実績を活かさない手はない。“ノウハウの応用”を進め、市場ニーズにマッチした商品開発提案をしていきたい。
加えて、受託メーカーとしての安心安全のブランド化を進める。国内はもとより、海外市場に向けても、「メイド・イン・アピ」をアピールしていく。
◆健康食品と多分野の融合が事業拡大のテーマに
「健康食品」と「運動(スポーツニュートリション)」「美容」「食品」「介護」の融合が今後の事業拡大のキーとなる。化粧品(美容)との融合にはどのような剤形が適しているか、食事(食品)との融合では毎日の食シーンの中で、健康食品が何を補えるか――など、健康食品のOEM/ODMメーカーとして、新たな市場を創出していく。
語り手:(株)アピ 代表取締役社長 野々垣 孝彦 氏
本記事は「健康産業新聞 1653号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら
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