インナービューティ商材の市場規模は、コラーゲン、プラセンタ、ヒアルロン酸Na、植物発酵エキス(酵素)など定番素材だけでも末端ベースで1,500億円超。ここにセラミドやエラスチン、ケイ素などを加えると、メジャー素材だけでも2,000億円強と推計される。
アジアを中心とした訪日外国人によるインバウンド需要の拡大を背景に、市場は好調に推移し、ダイエット素材と並び健康食品市場を牽引している。本紙は昨年12月、健康食品受託メーカーにアンケート調査を実施。受注件数が多かったカテゴリーでは「美容・美肌」がトップを維持し、人気受注素材ランキングでは、乳酸菌が1位、酵素とコラーゲンが2位、プラセンタが3位となった。圧倒的な知名度を誇るプラセンタ、その人気と肩を並べるコラーゲンなど定番美容素材とともに、サプリメントやドリンク、ゼリーなど幅広く採用が続いている。
市場の傾向としては「腸内環境改善による美肌効果」が盛んにメディアで紹介され、消費者認知度が向上。乳酸菌やビフィズス菌をはじめ、酵素、酵母、麹類など発酵素材が伸長している。また美白ブームの影響から、「体内からの紫外線対策」を訴求するサプリメント、ドリンクも人気だ。昨年、一昨年と大手企業からも「飲むUVケア」商材が続々と上市された。
インナービューティ市場の拡大を受け、各社、女性特有の悩みであるシミ、シワなど美肌効果のエビデンス構築に注力。研究データを活用して、肌保湿関連のトクホや機能性表示食品の申請が増加している。トクホでは1月1日、米胚芽由来グルコシルセラミドを配合したポーラの『オルビスディフェンセラ』が上市。同品は一昨年、肌乾燥対策の表示許可を取得しており、同じく表示許可を取得していた資生堂の『素肌ウォーター』に先行する形となった。
機能性表示食品では、現在130品が受理されており、昨年同月から30品近く増加し、全体の約8%を占めている。機能性関与成分のトップはヒアルロン酸Na。次いで米由来、パイナップル由来、コンニャク由来のグルコシルセラミド、N-アセチルグルコサミン、アスタキサンチンなどが採用されている。表示例は「肌の潤いを守る」「肌の水分保持」「肌の保湿力(バリア機能)」「肌の乾燥を緩和」「肌の水分を逃がしにくくする」など。エーザイ、富士フィルムヘルスケアラボラトリー、資生堂など大手各社で新商品の投入、既存製品の刷新を進めている。
新たな抗酸化素材の研究も進んでいる。主にアイケア商材へ活用されてきたカシスが近年、抗酸化作用、血流改善作用、脳機能改善作用などに関する研究が進められ、インナービューティ商材への活用が進む。カシスは、他のベリー類には含まれていない「デルフィニジン-3-ルチノシド」「シアニジン-3-ルチノシド」というアントシアニンを多く含み、強い抗酸化力を持つ。日本では美容ドリンク、スムージーやリキュールに採用される。アメリカではスーパーフルーツとして、美容サプリ、ドリンクとして広く活用されている。
本記事は「健康産業新聞 1660号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら
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