日清オイリオグループが2,000人を対象に実施した「健康と食に関する意識調査2017」によると、健康に良いと思って意識的に利用している食品の中で、「ヨーグルト」(1位)、「納豆」(2位)などに続いて「オリーブオイル」は5位にランクンインしている。また健康意識の高い人に使用している食用油を聞くと、「オリーブオイル」が最も多かった。
国立健康・栄養研究所の健食データベースでは、オリーブオイル、オリーブ抽出物を用いたヒトでの評価で血圧低下作用、コレステロール低下作用、中性脂肪低下作用、循環器疾患のリスク低減、リウマチ性関節炎のリスク低減――などに関する有効性が紹介されている。欧州では、EFSA(欧州食品安全機関)がオリーブ抽出物について、LDL酸化抑制に関する強調表示を承認している。
1,300億円市場といわれる食用油の中でオリーブオイルは、約10年で3割近くの規模に成長した。一昨年前は、主要産地であるスペイン、イタリアなどにおける天候不順の影響で生産量の不作に見舞われたことなどから市場は落ち込んだが、昨年は健康番組などでオリーブオイルが取り上げられたことも寄与して、家庭用オリーブオイル商品は回復傾向にある。日本オリーブオイルソムリエ協会では、販売者や流通業者向けにオリーブオイルの正しい知識などを身につけることができる「オリーブオイルアドバイザー™」講座を昨年から開講。「問合せが多く、好評を博している」という。
国内健食市場では食用オイルのほか、葉や果肉含まれる有用成分「ヒドロキシチロソール」「オレウロペイン」「ベルバスコシド」「オレアノール酸」などに着目した機能性素材が流通する。新たな動きとして昨年11月には、東洋カプセルのサプリメント『オリーブのちから』が機能性表示食品として受理された。表示内容は「オリーブ由来ヒドロキシチロソールは抗酸化作用を持ち、血中のLDL-コレステロール(悪玉コレステロール)が酸化され、酸化LDL-コレステロールになることを抑制させることが報告されています」。1日摂取目安量5.25mgと少量で利用できるのも特長だ。受理品をベースに一般加工食品や飲料などへの広がりにも期待を寄せる。
オリーブは大半を海外から輸入している一方、近年は地域産業の観点から、国内でのオリーブ栽培も注目されている。県花・県木に指定されている香川県・小豆島が国内のオリーブ産地としては有名。県ではオリーブのブランド強化を推進。昨年は官能評価体制が、オリーブに関する国際協定に基づいた政府間機関「IOC(International Olive Council)」から国際認定を受けた。また機能性表示食品の研究・開発を支援する中、県内事業者2社が県産オリーブオイルを活用して届出に向けた取り組みを進めている。休耕地を活用したオリーブ栽培は、健康機能といった付加価値を創出することができることに加え、高齢農業従事者への負担が比較的少ないこともあり、九州地域や岡山県、広島県、静岡県、兵庫県・淡路島など全国に広がっている。
本記事は「健康産業新聞 1662号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら
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