今年9月のラグビーW杯日本大会、来年の東京五輪・パラリンピック開催を目前に控え、アンチドーピング(AD)認証機関の動きが慌ただしい。昨年末、日本アンチドーピング機構(JADA)は、サプリメントのAD認証業務を切り離す方針を表明。JADAの認証マークを付与した製品は少なくとも20年中には市場から姿を消すこととなる一方で、インフォームド・チョイス、NSF、BSCG、ドーピングガードといったAD認証マークを取得した製品が目につくようになった。また近く公表される見通しのJADA新ガイドラインでは“ISO17025”の取得が盛り込まれ、AD認証機関はその対応を迫られるという。AD認証の現状に迫る。
昨秋のJADAの表明を受けて、アスリート本人をはじめ、スポーツドクター、栄養士、スポーツファーマシストなどアスリートを取り巻く関係者間では、サプリメント使用に対する不安が広がっている。国内ではアスリートのサプリメント使用は基本的に推奨せず「危うきには近寄らない」スタンスを取るスポーツ団体も多いが、その一方で「ドーピング違反にならなければ、何かしらのサプリメントを使用したい」というアスリートの声も根強くAD認証機関への問い合わせも増えている。
現在行われているADの認証プログラムは、インフォームド・チョイス、NSF、BSCG、HASTA、ドーピングガードなど。先月27日、薬系卸の大木ヘルスケアが開催した商談会でもAD関連製品の棚が設けられ、新たな販路拡大も見込まれている。なかでもインフォームド・チョイスは、昨年から認証数を30以上増やしており、最終製品のほか、原材料、工場まで認証の幅を広げている。
現在JADAは有識者会議を進め、事業者の多くが求めているADに関する明確なガイドライン作成を進めており、近く公表される見込みだ。AD認証に精通する関係者の情報では「今度のガイドラインでは、事業者に対して工場認証と製品認証が求められ “ISO17025”の取得が義務化される見込みだ」という声も。“ISO17025”は、試験所認定と呼ばれ、製品検査や分析・測定などを行う試験所と、計測機器の校正業務を行う校正機関に対する要求事項が定められている。ISO17025の取得がガイドラインに盛り込まれた際は、AD認証機関はその対応に迫られることととなる。国際基準に準拠した厳密なサプリメントの製造スキームが構築されることで、アスリートが感じている不安の緩和が期待されている。
本記事は「健康産業新聞 1663号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50ページ)定期購読のお申し込みはこちら
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