女性層を中心に人気のマクロビオティック。ヨガやダイエットをきっかけに「プチマクロ」「ゆるマクロ」を実践する動きが顕在化しつつある。「ゆるべジ」「フレキシタリアン」「ミートフリーマンデー」といった新たな食スタイルもマクロビオティック入門者を後押ししている。こうした裾野拡大の背景には、SDGsを意識したライフスタイルへの脚光もある。飲食店におけるプラスチックストローの廃止など、環境保護に配慮する動きが身近に。環境意識の高まりは、食生活を見直す動きに波及している。近年では、各地の自治体や教育機関の食育活動も追い風で、「地域のものを食べましょう」「季節の野菜を食べましょう」といったフレーズが浸透。マクロビオティックの基本的概念「身土不二」はさまざまなカタチで定着しつつある。個別の商材でみると、女性の社会進出を受け、「時短」「簡便」を訴求する手軽なレトルトタイプも充実。マクロビオティックを意識した簡易な料理はもとより、玄米や味噌、醤油、塩、油などの調味料が堅調な動きを見せている。クッキングスクールでは「夜間レッスン」などのコースも。各種スクールを運営する団体は、マクロビオティック・ライフスタイルの提案を加速させている。
■「ゆるマクロ」「プチマクロ」等、ライトユーザー層の確立も
「身土不二」「一物全体」などを基本概念とするマクロビオティック。この考え方に基づいた食事法が改めて注目されている。背景には、ヨガやダイエットに取り組む女性層を中心とした“食生活見直し”の機運が高まっていることがある。近年、新しい食スタイルとして浸透しつつある「ゆるべジ」「フレキシタリアン」「ミートフリーマンデー」は、「プチマクロ」「ゆるマクロ」といったライトユーザーの確立も後押ししている。また、国連が推奨するSDGs(持続可能な社会をつくる理念)とも親和性が高いことから、こうしたライフスタイルに共感する新たなマクロビオティック入門者も。「身土不二=国産品使用」、「一物全体=無駄なく全て丸ごと使用」、「陰陽調和=バランスのとれた食事」という原則に基づく「マクロビオティック」に再び脚光があたっている。
「マクロビオティック実践者は特殊な人たちではなくなった」と語るのは正食協会の岡田恒周氏。身近になった要因として「食育の普及がある」と話す。“身土不二”の意味する「地産地消や季節の食材を食べる動きは幼稚園や保育園、学校給食の場で始まっている」とし、「マクロビオティックはようやく市民権を得た。もう特別なコンテンツではなくなってきた」としている。
市場には、原材料にこだわったクロビオティック商品が人気を集めている。マクロビオティック商品を提供するムソーは、有機JAS認定の国産原料にこだわった『有機・無双番茶』を展開。熟成による旨みと丁寧に焙じた香ばしさ、艶のある色合いが特徴でリピーターを獲得している。国産雑穀を主原料にPB、OEM供給を展開する種商では、2 月4 日に新商品の「十六穀ごはん」を発売開始。不足しがちな栄養素である食物繊維を摂取できるよう、注目の大麦やもち麦など、16種類の雑穀を食べやすい比率でブレンドしたという。塩とにがりのパイオニアである天塩は、にがり成分を含んだ『赤穂の天塩』や海洋深層水を原料とした『天海の塩』といった“こだわり商品”を提供している。
■「レトルトタイプ」時短ニーズに対応
マクロビオティック商材に変化が生まれている。社会構造の変化や女性の社会進出を受け、「手軽に」「おいしく」をキーワードとしたレトルトタイプ製品が充実。多忙な現代人のライフスタイルに合致する「時短製品」が好調に推移している。マクロビオティック食品、自然食品の販売を行うオーサワジャパンでは、『マクロビオティック一週間体験セット』を展開。1 日3 食7 日分の入門セットで、温めたりお湯を注ぐだけの手軽さが支持されている。7日間メニュー・ガイドブック付きで年々売上を伸ばしている。
本記事は「健康産業新聞 1663号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら
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