カンナビジオール(CBD)の食品、化粧品への利用が進んでいる。大手ネット通販サイトやオーガニック専門店で展開され、注目の素材として業界の関心を集めている。一方で「大麻由来」というネガティブイメージが先行し、取り扱いを躊躇するブランドオーナーも少なくない。国内事業者は、生産地証明、トレーサビリティを担保する証明を提示することがマストだが、一部、低価格で流通するCBD製品に対して品質や安全性を疑問視する声も。また水面下で日本市場へ参入を目指す海外飲料メーカーもあり、その動向に注目が集まっている。
今年に入り「カンナビジオール(CBD)」を配合した食品、化粧品が市場を賑わしている。オイル、リキッドタイプの製品が数多く見受けられるほか、『CBDローカカオバー』(エリクシノール)や『CANOVY® WATER』(CBDダイレクト)といった飲料やチョコ、ガムタイプの剤形も見受けられるようになった。
先月24日には、ビープル バイ コスメキッチンでCBDを配合したクレンジング、化粧水、クリーム、サプリメントなどが発売。『LUXZ CBD PLUS』(organy)や『Canna Cell』(アンダルーナチュラルズ)など化粧品への配合も進んでいる。
とはいえ「大麻由来成分」という部分で、ブランドイメージを損なうと考える国内事業者も少なくなく、コンビニエンスストアやGMS、DgSなどでの取扱いは躊躇される傾向も強い。CBD製品の取り扱いメーカーによれば「ホームページ上のトップ画面に掲載するはずだったが、リスクマネジメントの観点から顧客、報道機関を限定してアナウンスした」と話す。ネガティブなイメージを払拭して、日本市場でCBD製品が市民権を得るには、まだまだ時間がかかりそうだ。
CBDは大麻由来の有効成分ではあるが、高揚感や多幸感を引き起こす麻薬成分と「テトラヒドロカンナビノール(THC)」とは組成が異なる。THCを0.3%以下に抑えた産業用大麻の栽培が認められているアメリカや嗜好用としての大麻使用が認められているカナダでは、葉から抽出したCBDが使用されているが、日本では法規制の対象となるため、茎、種子部分から抽出したCBDが使用されている。国内でCBD製品を扱う際は、製品が日本向けに規格されており、生産地証明、トレーサビリティを担保する証明を提示する必要がある。
一部WEB通販サイトでは、安価なCBD製品も見受けられる。日本向けに製品を規格する場合、CBDの配合量が少ない茎、種子を利用する必要があるため抽出コストが大きい。関連事業者からは「安価なCBD製品には葉由来のCBDが使用されている可能性もある」という声も聞かれており、低価格製品の取り扱いには一定のリスクが伴うようだ。
海外から日本市場に参入しようとする動きも見受けられる。アメリカの健康飲料メーカーで、ナスダック上場のニューエイジビバレッジは、昨年、ネットワークビジネス大手のモリンダインクを約96億円で買収。2月末に、日本法人であるモリンダジャパンはCBDブランド『Marley』を今後の成長領域とし、ノニとCBDを配合した飲料を複数アイテム用意する可能性を示唆している。具体的な取扱い時期は未定だが、近くNB展開が見込まれている。
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