老若男女問わず、日本人のスポーツへの関心は高まっている。スポーツニュートリション市場は、2015年から拡大を続けており、アミノ酸、プロテイン関連商品の市場規模は600億円を上回っている。従来のサプリメント剤形に加え、ゼリー、バー、ドリンクなど多様な剤形の製品が上市され、海外で人気が高まっているエンドウ豆、アーモンド、カボチャなど植物由来のプロテインへの関心も高まっている。一方で東京オリンピックを境に、スポーツブームは収束するとの見方もあり、各メーカーではアクティブシニア、一般層を巻き込んだ製品開発が進められている。
■国民のスポーツ実施率向上
東京オリンピック・パラリンピック、ラグビーワールドカップなど大型のスポーツイベントを目前に控え、国民のスポーツへの関心はますます高まっている。スポーツ庁が2 月発表した「平成30年度スポーツの実施状況等に関する世論調査」によれば、週1 日以上のスポーツ実施率は55.1%(前年度51.5%)、週3 日以上では27.8%(同26.0%)へと向上(グラフ)。日常的に全くスポーツをせず、今後もするつもりがないと回答した人は14.8%(前年度27.0%)と減少している。各年代別では60代、70代男女の実施率が高く、10代女性を除き各層で前年を上回った。また昨年のレジャー白書によると2017年の余暇市場、約70兆円のうちスポーツ部門は4 兆760億円(同1.2%増)となっている。ウォーキング、ランニング、自転車といった比較的お手軽なジャンルが好調で、シューズ、ウェア、自転車などスポーツ用品市場は6 年連続で拡大している。またサルコぺニア・フレイル予防などを目的とした高齢者利用の増加を背景に、会員数の伸びが著しいフィットネスクラブ市場は4,610億円(同2.9%増)と過去最高を更新。既存店に加えて、小規模FCチェーン、24時間型セルフサービス型ジムといったジャンルが伸長している。一方で2020年のオリンピックを境に現在のスポーツブームは一旦、収束するとの見方もある。今後メーカーにとっては、アスリートだけでなく、アクティブシニア、一般層を巻き込んだ商品提案が鍵となりそうだ。本紙の取材では「日本は欧米と比べてスポーツ栄養に関する教育レベルが低く、一部のリテラシーが高い層から一般層まですそ野を広げるような活動が重要だ」(大手メーカー担当者)、「アンチドーピング認証の普及によりアスリートが安心してサプリを活用できる環境が整えば、市場はさらに拡大する」(アンチドーピング認証機関関係者)といった声が聞かれている。
本記事は「健康産業新聞 1668号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら
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