高期高齢者の要介護予防は65歳を迎える前の段階で必要とされ、運動と栄養による対策が効果的とされている。国を挙げてロコモ、サルコペニア(加齢による筋肉量の減少)、フレイル(虚弱)予防の取り組みが本格化する中、主に前期高齢者層で「アクティブシニア」と呼ばれる元気な高齢者を対象としたサプリメントや健康志向食品の製品開発が活発化している。ヘルスリテラシーが高く、人口ボリュームも多いアクティブシニア層の支持を得ることは、健康寿命の延伸に加え、医療費・介護保険費抑制の実現にも近付ける上、産業界にとっては大きなビジネスチャンスにも繋がるだけに、その動向に注目される。
■深刻化する後期高齢者の介護予防対策
わが国では、総人口に対する65歳以上の人口は3,515万人で、高齢化率は27.7%に達している。今後も65歳以上人口は増え続け、なかでも団塊の世代が75歳以上になる2025年には3,677万人に到達し、42年には3,935万人でピークを迎えると推定されている。平均寿命が男女とも80歳を超える一方、健康寿命との差は現状で10歳前後。この差を埋めるため健康寿命の延伸が喫緊の課題となっており、ロコモ、サルコペニア、フレイル対策が、介護予防を主眼とした国の施策として推進されている。近年は「後期高齢者の痩せ」や、口腔機能の衰え(オーラルフレイル)も要介護に繋がると指摘され始めている。
■高齢者が寝たきりや要介護に至るまでの流れ
「歯周病などで歯が喪失し口腔機能が失われ、食欲が低下」、続いて「咬合力や舌運動力の低下から低栄養と代謝量の低下が始まる」、その結果「サルコペニアやロコモティブシンドロームに」、さらに最終的には「摂食えん下障害や咀嚼不全を起こしてフレイル状態に陥る」というフローだ。専門家の話では、75歳を超えるとフレイルの割合が急速に高まることがわかっており、現状で10人に1 人がフレイルで死に至るとしている。後期高齢者で要介護者・要支援者と認定された人は、10年前に比べ5 割以上増加しているとのデータも。そこで求められるのが、後期高齢者を迎える前段階、つまりは前期高齢者および、それ以前の40~50代への対策だ。なかでも定期的な運動(筋力維持)と栄養(特にタンパク質、ビタミンDやミネラル類の摂取)が重要となる。
本記事は「健康産業新聞 1668号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら
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