昨年末、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)は、サプリメントに対するアンチ・ドーピング認証の終了を発表した。以降、有識者会議を設けて、スポーツサプリメントに対する新たなガイドラインの作成を開始。今年3月「スポーツにおけるサプリメントの製品情報公開の枠組みガイドライン」を発表した。新たに明確な基準が示されたことへの歓迎の声が上がる一方、生産施設審査への基準、分析範囲に対しては疑問の声も。
■現在、アンチ・ドーピング(AD)認証は、最終製品だけでなく原材料、工場まで幅を広げている
ADに対する一般的な認知度は、まだまだ低いものの、東京五輪、ラグビーW杯などを控え、スポーツ市場が拡大する中、徐々にAD認証取得製品が市場を賑わせている。
JADAが設置したサプリメント認証枠組み検証有識者会議は、3 月「スポーツにおけるサプリメントの製品情報公開の枠組みガイドライン」を公開した。昨年末、JADA認証が終了したことを受けて、水戸光圀の印籠を失ったメーカーにとっては、新たに道筋が示されたことで、今後、インフォームド・チョイス、NSF、BSCG、ドーピング・ガードなど民間のAD認証プログラムの活用が進むとみられる。
■同ガイドラインは、AD 認証における製品・製造管理・審査、分析結果や審査状況の公開などを定めている。粉体、錠剤、ジェル、液体、カプセル形状のスポーツ向けサプリメント製品が対象となり、一般的なスポーツドリンクや食品は対象ではない。また従来のJADAマークのような認証マークはなく、認証機関がそれぞれ認証マークを付与する仕組みだ。
■新ガイドラインでは、①生産施設審査の基準、②製品分析における対象物質の範囲、③分析機関に求められる能力、認証などが示されている。①については、cGMPに相当するスポーツサプリメントに適したGMPを基準とし、認証を取得し維持することが義務化された。②については、世界ドーピング機構の禁止表の各区分について、それぞれ上位50%の物質を対象範囲とし、そのうち60%を下らない範囲の分析を行うことが求められた。③については、分析の下限値が分析対象物の性状が多岐にわたることを考慮し、液体100ng/mL、固体100ng/g と定められた。
本記事は「健康産業新聞 1668号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら
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