厚生労働省が昨年発表した国民の健康づくり計画「健康日本21」の中間報告では、メタボリックシンドローム該当者・予備軍がここ5年で増加し、1,412万人に。メタボリックシンドロームを要因とする死因リスクは高く、「死の四重奏」と呼ばれる肥満・高血圧・高脂血症・糖尿病が引き起こす動脈硬化や冠動脈疾患の患者数も年々増加。統計調査の最新版では、心疾患や脳血管疾患による死因の割合は、死因1位の悪性新生物(がん)に迫る勢いだ。
こうした現象は国内のみならず世界的に広がっており、世界人口の死因を調査したデータでは約60%がメタボを要因とする死因と報告され、2030年には約1.5倍に増加するとの予想も。
世界規模でメタボ人口の増加に歯止めが効かない状態に陥っており、対策が急務となっている。国内健食業界に目を移すと、メタボ対策の重要性を反映するかのように抗メタボカテゴリーは活況をみせており、機能性表示食品では全受理数の半数近い860品にのぼる。このような背景から、新たな抗メタボ素材が次々と登場しているほか、機能性研究の取り組みも加速しており、関連市場はさらなる拡大の様相を呈している。
■死因リスク上位に減らないメタボ人口
メタボリックシンドロームは、肥満(中心性肥満・内臓肥満)、インスリン抵抗性や高血糖、脂質代謝異常(高中性脂肪血症、低HDLコレステロール血症)、高血圧といった動脈硬化性疾患と2 型糖尿病発症リスク因子が集積した病態を指す。
昨年厚労省が発表した国民の健康づくり計画「健康日本21」(2013~22年度まで予定)の中間報告では、メタボ該当者と予備軍は計画策定時の約1,400万人から12万人増加し1,412万人になったという。
BMI値が25以上の「肥満」の割合についても、20~60代男性で31.2%から32.4%と増加していたことがわかり、歯止めがきかない状態に。厚労省ではこの結果を受け、メタボ該当者、予備軍の当初目標1,050万への削減政策について、達成時期を2022年に延長する事態となっている。
■重予防領域にクローズアップ健康食品に白羽の矢
メタボ人口の増加と共に拡大しているのが医療費。国民医療費の疾病分類別データでは、メタボを要因とする「循環器系の疾患」が6 兆円規模でトップになるなど、深刻な課題となっている。政府も予防医療領域にメスを入れる。昨年末に行われた経済財政諮問会議では、高齢化に伴う社会保障費の増大対策として、医療制度など一連の改革について検証。社会保障について、新経済・財政再生計画に沿って、来年度予算編成を行うとし、なかでも健康診断などを通じた予防医療については、同会議議長を務める安倍首相が、「予防や健康づくりなどの重点事項を着実に推進してほしい」とコメントするなど、国民の健康維持・医療費削減にテコ入れを行う状況となっている。
本記事は「健康産業新聞 1667号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら
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