「完全栄養食品」と言われ、良質なアミノ酸やビタミン、ミネラルなどを豊富に含むたまご。今年は鶏卵初の機能性表示食品が受理されたほか、低糖質を打ち出した新な展開も注目を集めている。鶏卵メーカー各社や関連団体によるSNSを活用した卵の普及活動も本格化。さらなる需要喚起に向けた取り組みを加速させている。
■機能性関与成分「EPA・DHA」「中性脂肪」対応で受理たまごの機能性研究は、国内外で活発に行われている
卵殻カルシウムの骨量増加や卵黄リン脂質の脳への働き、卵白ペプチドの抗疲労効果など、様々な研究成果が関連学会やタマゴシンポジウムなどで報告されている。こうしたなか、機能性表示食品制度において新たな展開が。鶏卵生産・販売大手のイセ食品㈱が4 月24日、生鮮食品『機能性伊勢の卵』(届出番号:D586)で初の受理。EPA・DHAを機能性関与成分とする赤玉の鶏卵で、中性脂肪の対応を訴求する。1日あたりの摂取目安量は2 個(可食部98グラム)で、EPAを39ミリグラム、DHAを352ミリグラム摂取できるという。機能性の評価方法は研究レビューで評価している。鶏卵初となる機能性表示食品の登場を控え、鶏卵業界を中心に大きな関心と期待が集まっている。
■低糖質で新市場創出へ「低糖質」がたまご市場拡大のキーワードになる
健康志向の高まりを背景にたまごの新たなプロモーションが始まっている。「糖質オフ・ゼロ食品市場は290億円(2017年調査)で、関連商品も増え市場規模は年々右肩上がりで伸長している」と語るのは、JA全農たまご・東日本営業部の伊藤洋介氏。「パッケージの裏面に糖質量を記載したテスト販売で売上がアップした」という。たまごは低糖質であるとともに、アミノ酸スコア100で栄養面にも優れている。こうした卵の良さを伝え需要喚起につなげていきたいとしている。同社では今年1 月、“おいしく楽しく適正糖質”を掲げる(一社)食・楽・健康協会に入会。同会の“ロカボマーク”を記載した新商品を7 月から販売していく。「低糖質」という切り口が新たな市場を切り開けるか。今後の動向が注目される。
■鶏卵業界が団結「インパックラベル」による需要喚起
(一社)日本卵業協会を中心とする鶏卵知識普及会議では4月、鶏卵の正しい知識普及および消費促進に向けた活動を展開。卵を使ったレシピや健康情報など記載したラベルを1,700万枚印刷し、パックに同梱して配布した。同封のラベルは5種類あり、①朝食とたまごの新知識②子供と作れるおいしい簡単レシピ③たまごの秘密を教えます④日本人の食事摂取基準が変わりました!⑤たまご1 つで理想の栄養バランスに近づきます。といったテーマを用意。ラベル記載のQRコードをスマートフォンで読み込むと詳細を知ることができる仕組みだ。
本記事は「健康産業新聞 1667号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら
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