性の社会進出や活躍が目覚ましい昨今、女性のライフスタイルにも大きな変化が見られる。更年期障害、PMS(月経前症候群)など、女性ホルモンに起因する女性特有の様々な悩みに着目したサプリメントのニーズも高まっている。なかでも更年期症状の改善に対して豊富なエビデンスを持つ成分「エクオール」が伸長、100億円近い市場に成長している。さらに、大豆イソフラボンやマカ、ローヤルゼリー、米胚芽、プラセンタ―― など様々な原料についても、多角的アプローチから“女性サポート”素材としての提案が進んでいる。
■女性ホルモン様作用有する有する素材が主流
女性特有の悩みとして代表的な症状が「更年期障害」。50歳前後で閉経を迎え、それに伴い卵巣の機能が低下し、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に低下することで、ホルモンバランスが崩れ、ホットフラッシュ(のぼせ・ほてり)や発汗、頭痛、めまい、憂鬱、不眠、動機、肩こり・腰痛、便秘、下痢、シミ・シワ・たるみ―― など身体的・精神的に様々な症状が現れる。更年期対策として活用されている機能性食品素材では、大豆イソフラボン、エクオール、ローヤルゼリー、米胚芽、マカ、ザクロ、プラセンタなど様々。
なかでも女性ホルモン(エストロゲン)様作用を有する素材が目立つ。主要サプライヤーの動向をみると、築野食品工業では、γ- オリザノールを30%以上残有する『米胚芽ガンマ30N』が堅調。米由来のγ- オリザノールには、自律神経の働きを整える作用、顔のほてり・頭痛などの更年期症状改善作用をはじめ、乾燥肌の改善作用などのデータを有する。ジャパンローヤルゼリーでは、ミツバチの生態と摂理を重んじた「山口喜久二式自然養蜂®」で採取した栄養価の高い天然型ローヤルゼリー原料を展開。自社製品で女性ユーザーの反響が上々なことから、さらなる拡販を進めている。
TOWA CORPORATIONでは、マカエキスパウダー『MACAXS®』に、ほてり・のぼせなど更年期の代表的な10症状に対する有用性を確認、更年期サポート素材として順調に推移している。このほか、東洋発酵が展開するバラ花びら抽出物『ローズクリスタ®-70』は、ポリフェノール含有量70%以上という独自性の高い素材で、紫外線による肌ダメージおよびメラニンの抑制作用を有し、シワ・シミ対策のエイジングケア素材としての提案が奏功している。
■エクオールが市場牽引、末端ベースで100億円規模に
更年期対策サプリメントの中で、市場を牽引している素材がエクオールだ。エクオールとは、腸内細菌によって大豆イソフラボンに含まれるダイゼインから代謝される成分。近年、大豆イソフラボンからエクオールを作れる人と作れない人が検査で分かるようになり、これを受け、エクオール産生効率を高めた素材やエクオールそのものを摂取する動きが高まっている。
実際、更年期症状に対する豊富なエビデンスと優れた体感性を強みに、エクオール配合サプリメントの売れ行きは近年伸長している。エクオールの開発にいち早く成功し、『エクエル』シリーズを展開するリーディングカンパニーの大塚製薬では2014年以降、エクオール製品の売上は2 ケタ成長が続いているという。現在ではディーエイチシー、アサヒグループ食品、小林製薬など大手企業もエクオール配合サプリメントを上市しており、主要企業への取材から、エクオールは末端ベースで100億円近い市場に成長していると推計される。
本記事は「健康産業新聞 1667号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら
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