本紙が実施した上半期受託調査では、6割の企業が増収を達成（既報：1670号）。本特集では、関東圏の主要な受託メーカーにスポットをあて、各社の差別化戦略に注目。多品種・小ロットニーズが一段と多様化する中、各社では、一般的な受託製造にとどまらず、オリジナルの製造技術や、独自素材の開発・提案、設備増強などで付加価値化を図る。
■独自技術やオリジナル原料開発等で差別化本紙が上半期に実施した受託調査（対象企業200社：有効回答73社）では、63％が増収と回答。一方、下半期については、中国EC法の影響で鈍る商品流通や10月の消費増税など不安要素もあり、「どちらともいえない」が60％に及ぶなど不透明感が漂っている。
こうした中、首都圏「3 環状」近隣で業績の好調な健康食品受託メーカーをみると、機能性表示食品に対応した原料開発や、オリジナル原料を使用した商品提案など、受託製造に独自技術やオリジナル原料をプラスして付加価値化を図る動きが目立つ。常磐植物化学研究所は、受託製造事業がここ数年、2 ケタ成長で推移。エキス製造に関わる「抽出・分離・精製・乾燥等一連の自社設備」は、日本を代表する植物抽出物の受託製造企業として世界的にも高い評価を受けており、SRを整備したオリジナルの機能性表示食品素材も提案。採用実績は60品超（2019年7 月時点）。
皇漢薬品研究所は、オリジナル原料として、米国ウィスコンシン・ジンセン協会との直輸入契約素材『アメリカ人蔘』や、ペルー国立ラ・モリーナ農科大学の管理栽培品『ラ・モリーナ大学マカ』のほか、独自の酵素処理加工で低分子化した『水溶性スッポンエキス末』や、女性サポート素材14種類をブレンドした『ビューティーレディブレンド末』、世界の稀少原料15種類をブレンドした『パワーミックスブレンド末』などを揃える。これらの開発・研究を活かした商品提供が好調だ。
船橋市にある飲料受託メーカーのタンポポ産業は、化粧品メーカーやIT関連企業などから、中国や韓国、ベトナムなど海外輸出向けの美容ドリンク受注が好調に推移しているという。習志野市にある健食受託メーカーの清光薬品工業は、健食GMP取得済みの本社・工場で、原料供給からPB・OEM商品の受託製造まで一貫対応。総仕込数量15kgから製造可能だ。オリジナル素材である『クリルオイル』、『アンフィス®』のほか、脳機能改善作用を確認済みのアカガウクルア塊根粉末『ソフォン®』などの提案にも力を入れている。
■「乳酸菌（生菌）」や「食用炭」、「粉末の特殊な表面処理」など、特殊な受託対応伸長
秩父市にある大曽根商事㈱では、特に「生菌」を取扱うことのできる高い技術力とノウハウが顧客に高く評価されており、乳酸菌培養の受託生産はここ数年で大きく伸長しているという。茨城県牛久市のふれあいリレーションズは、今春から充填・包装・発送に特化した新工場が竣工。対応工場の少ない食用炭の充填業務にも応じており、「問い合わせが増えている」という。
イノアコーポレーションは、原料粉末の表面処理“コートマイクロカプセル”受託や、各種オイル・抽出エキス液を独自の吸着材に吸着粉末化する「高濃度吸着粉末化」受託、エキス粉末の細粒・顆粒など「無添加造粒」受託を得意とし、「どこに相談してもできないと言われた」案件に豊富な対応実績を持つ。
本記事は「健康産業新聞 1667号」に掲載。「健康産業新聞」（月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁）定期購読のお申し込みはこちら
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